犬の喜び顔を科学する

犬と暮らしていると、「この子は今うれしい」「ちょっと不機嫌」といった表情の変化に、つい点数をつけたくなります。
特に、おやつの袋をガサッと鳴らした瞬間に見せるキラキラ顔は、飼い主だけが知っている“必殺の1枚”かもしれません。
では、その「ごほうび顔」は、犬によってバラバラなのでしょうか。
それとも、実は多くの犬に共通する“型”があるのでしょうか。
そもそも動物たちは、進化の中で「顔の筋肉」をうまく使うことで、さまざまな気持ちや意図を伝えてきました。
顔の筋肉が骨から離れて皮膚にくっつくように変化したことで、細かい表情が作れるようになったと考えられています。
ウマやウシ、マウスなどでも、好物を見せると耳や口元の特定の動きが増える「ごほうび顔」が報告されており、「報酬刺激(報酬になる刺激)」への反応は、動物界の共通テーマになりつつあります。
犬の世界では、DogFACS(ドッグ・ファックス:犬の表情を細かい動きに分けて記録する方法)が開発され、「眉を上げる」「目を細める」などを番号付きで整理できるようになりました。
しかし、「好きなものを見たときの顔」について、DogFACSを使って系統的に調べた研究、しかもオスとメスの違いや時間変化まで追った研究は多くはありませんでした。
一方で、犬の感情を知ることは、犬の健康にも役立ちます。
人間と同じように、動物は長くストレスにさらされると、好きだったものに興味を示さなくなる「無快感症」を示すことが知られています。
病気や薬の副作用で生活の質(QOL)が落ちていないかを知るには、「ごはんやおやつをどれくらい楽しめているか」という指標が、本当はとても重要です。
そこで研究チームは、「犬が好きなものを見たときに出す表情パターンを、DogFACSを使って定量的に(数字できちんと)示し、自宅でもできる方法としてまとめよう」と考えました。



























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