アリの鎧が教えてくれること

今回の研究により、菌を育てるアリの一種セリコミルメックス・アマビリスが、空気中の二酸化炭素を自分の体をおおう炭酸塩の鎧に変え、その鎧がドロマイトに近い構造と成分を持つことが示されました。
二酸化炭素が鎧の中の炭素として取りこまれていく流れが、時間の経過とともに直接追いかけられたことが、この研究の大きな成果です。
このしくみは、地球規模の炭素の物語を、アリの体の上に縮小して再現しているように見えます。
地球では、二酸化炭素が長い時間をかけて炭酸塩の岩という形で岩石の中に閉じこめられ、気候を安定させてきました。
同じように、このアリは巣の空気にふくまれる二酸化炭素をとらえ、髪の毛よりずっと薄い石の層として体の表面にまといます。
その小さなよろいのひとかけらひとかけらに、地質学で扱うような長い時間のプロセスがぎゅっと圧縮されていると考えると、この研究のスケールのギャップが見えてきます。
研究チームのキャメロン・カリー氏は、地下の巣でたまりやすい有害な二酸化炭素をへらす「自然のシステム」を見ているのだとコメントしています。
またコーディ・フリース氏は「アリたちは生きた炭素除去装置の役割を担い、大気中の二酸化炭素を保護用の鉱物の鎧へと変換します」と表現しています。
マグネシウムをたっぷりふくんだ硬い石を、どうやって短い時間で作り上げているのかを解き明かすことができれば、低いエネルギーで二酸化炭素を安定した形に変える新しい材料や方法のヒントになるかもしれません。
また、地下の高い二酸化炭素環境に適応したアリの暮らし方を知ることで、「生き物が環境の問題をどのように自分流に解決してきたか」という進化の物語にも新しいページが加わります。
もしかしたら未来の世界では、巨大な工場よりも、アリたちの石のよろいから学んだ静かな技術が、地球の空気をそっと整えているかもしれません。


























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「巣のゴミ山に捨てられた死んだ働きアリ」というのが悲しい
イメージが湧かないので、身近な例に例えてみると、どういうプロエスなんでしょう?
・打設したコンクリートが雰囲気の二酸化炭素を吸収して経年変化し、中性化する
・消石灰を水に溶かしこんだ溶液に二酸化炭素を含んだ空気を通して白濁させ、沈殿を得る
・強アルカリ条件下で石膏紛を水に懸濁させ、二酸化炭素を吹き込んで濾過する
どちらにせよ、二酸化炭素を吸収する前は、アルカリ性が強くて扱いづらそうです
電顕写真は見たところSEMですね。炭酸ガス固定が「石の鎧」の空気相側から新生しているという観察結果から見ると、SEM試料調製中に「石の鎧」の外側で働いている機能性組織が脱落していると思われました。
植物におけるRubiscoのようなタンパクと連動して炭酸ガスを固定するシステムがありそうで興味深いです。