銃弾に入れられて発射されても死なないクマムシ
あらゆる過酷な環境に耐えられることで有名な最強生物、クマムシ。
クマムシは、体長およそ0.1〜1.2ミリメートルほどの微小生物で、8本の脚とずんぐりした体つきから「ウォーターベア(水のクマ)」の愛称で親しまれています。
クマムシの最大の特徴は、その驚異的な耐久性にあります。
−200℃の極寒や150℃を超える高温、真空状態、放射線、強烈な水圧、そして放射濃度の高い宇宙空間といった極限環境でも生存できることが、数々の実験で明らかになっています。
近年の研究では、銃弾の中に入れられて発射されても死なないことが証明されました(Astrobiology, 2021)。

この驚異の耐久力の秘密は「乾眠(クリプトバイオシス)」と呼ばれる特別な休眠状態にあります。
乾燥や寒冷などのストレスが加わると、クマムシは代謝を極限まで低下させ、体から水分を抜いて、あたかも“時間が止まった”かのようなミイラ状態になるのです。
どこからどう見ても死んでいるようにしか見えませんが、クマムシはちゃんと生きています。
その証拠に、再び水分を与えると乾眠状態が溶けて、また元の元気な姿に戻るのです。
これまでの調査では、40年近く乾眠させたクマムシが復活した事例が報告されています。
この「不死身」とも称される性質が、今回の研究のターゲットに選ばれた理由でもあります。