ノスタルジーは「心の資源」!?どんな場所がノスタルジーを引き起こすのか

ノスタルジー(郷愁や懐古)とは、一般的に「過去への愛着や憧れの感情」とされます。
少し寂しさを伴うものの、多くの場合はポジティブな感情を喚起し、幸福感や安心感をもたらすとされてきました。
心理学的には、ノスタルジーは孤独や不安、人生の意味の喪失といった負の感情に対する“心理的な防御手段”としても機能することが示されています。
つまり、ノスタルジーはただの懐古趣味ではなく、自己肯定感や社会的つながりを回復する「心の資源」として重要なのです。
そして、これまでの研究は主に「過去の出来事」や「音楽」「匂い」などがノスタルジーを引き起こす要因として注目されてきました。
今回、研究チームは、「では“場所”がノスタルジーに与える影響はどうか?」という問いの答えを探ることにしました。

第1の実験では、イギリス在住の200名に、ノスタルジーを感じる特定の場所を思い出してもらい、その場所の特徴を自由記述で説明してもらいました。
その後、参加者には、その場所が属する景観カテゴリ(例:海辺、森林、都市、湖畔など)、規模(部屋、家、近所、町など)、そこに何人くらいの人が住んでいたかも、教えてもらいました。
また、記述された文章は言語分析ツール(LIWC)を使って、ポジティブな感情表現とネガティブな感情表現の頻度を分析しました。
その結果、最も多く挙げられたのは「海辺」「川沿い」「湖畔」といった青い風景でした。
実に35%の回答がこれに該当し、他のどの景観よりも高い割合でした。
また、ノスタルジックな場所は「町」「近所」などの中規模なサイズで、人口がまばらであることが多いと判明しました。
さらにこれら青の景色に関する記述では、ポジティブな感情表現がネガティブなものよりも有意に多く使われていたことが、言語分析によって確認されました。