青い風景が心を癒し、自己肯定感を高める

続く第2の実験では、アメリカ在住の398人を対象に、被験者を2つのグループに分けました。
1つは「ノスタルジックな場所」を、もう1つは「普通の場所」を思い出してもらい、それぞれ地図上にその場所をピンで示してもらいました。
それぞれの場所がどれだけ現在地から物理的に遠いか、そして心理的に「近く感じられるか」を評価します。
さらに、場所の景観(海沿いかどうか)や、そこを思い出すことで得られる感情的効果も調べました。
その結果、ノスタルジックな場所は現在地から遠いにもかかわらず、心理的には近く感じられると判明。
また、そうした場所の多くがやはり「海や川などの水辺」に位置していたのです。
加えて、ノスタルジックな場所を思い出した人たちは、愛されている感覚(社会的つながり)や人生の目的や意義が高まるという心理的な恩恵を受けていました。

第3の実験では、さらに分析を深め、アメリカ人403人を対象に調査を行いました。
その中で、景観を「青・緑・灰色(都市)」に分類し、その場所に最後に行った時期や心理的な効果を評価しました。
結果として、ノスタルジックな場所は「青く、緑が多く、灰色が少ない」傾向がありました。
また物理的・時間的には遠いのに、心理的にはとても近く感じられました。
そして、その場所を思い出すことで、「自分がずっと変わらずに続いているという感覚」「自信や自己肯定感」「自分らしさの実感」 が、統計的にも有意に高まっていました。