「目は2つ」が当たり前になる前の世界

普段、脊椎動物の「目」といえば2つが当たり前ですよね。
実際、哺乳類や鳥、魚にいたるまで脊椎動物の標準装備は左右一対の2つの目です。
しかし、中には頭頂に「第三の目」を持つ不思議な生き物もいます。
例えば一部のトカゲの仲間には頭の上に光を感じることのできる小さな目(頭頂眼)が存在します。
ヒトを含む多くの脊椎動物でも脳内に「松果体複合体(しょうかたいふくごうたい)」と呼ばれる光に反応する器官があり、夜になるとメラトニンという睡眠ホルモン(眠気を誘う物質)を分泌しています。
ヤツメウナギのような原始的な魚では、この松果体が今でも簡単な「小さな目」のように光に直接反応できる例も知られています。
発生学的に見ても、通常の目と魚やトカゲたちの頭頂部にある「第三の目」と松果体は同じ場所から出現することが知られています。
このため、「松果体はもともと目だったものが退化した姿ではないか」という第三の目理論が昔からありました。
しかし、化石からそれを直接示す決定的な証拠はありませんでした。
そんな中で注目されてきたのが、中国・雲南省の澄江生物群でした。
ここはカンブリア紀の軟体部まで残る化石の宝庫であり、最古級の魚型脊椎動物・ミロクンミン類(顎のない原始的な魚の一群)の化石が多数見つかっています。
その頭部には、左右の大きな目にくわえ、その間に小さな黒い斑点が2つ並んでいるものが多く、「鼻の袋(nasal sac)」の跡だろうと解釈されてきました。
しかし、もしこの小さな黒い点も「目」だったとしたらどうでしょうか。
左右の大きな目と合わせて、合計4つの目をもった魚が、脊椎動物の祖先だった可能性が出てきます。
そこで研究者たちは、「黒い点の中身を、現代の技術で徹底的に調べ直してみよう」と考えました。
本当にそんな“四つ目のご先祖さま”なんていたのでしょうか?


























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