高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質量が減少すると判明!
高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質量が減少すると判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質が減少する

2021.06.10 00:00:00 Thursday

捨てたのは数学だけだったのに、脳力も失っていたようです。

オックスフォード大学の実験心理学部門の研究者たちによる研究によれば、16歳で数学を「捨てる」選択をした学生は、重要な脳内物質GABA(γアミノ酪酸)の濃度が減少していたとのこと。

GABAはタンパク質を構成しないアミノ酸の一種であり、高等動物においては神経伝達物質として機能し、脳機能の改善や最適化に重要な役割を果たします。

研究内容は2021年6月7日に『PNAS』に掲載されています。

Lack of math education negatively affects adolescent brain and cognitive development https://medicalxpress.com/news/2021-06-lack-math-negatively-affects-adolescent.html
The impact of a lack of mathematical education on brain development and future attainment https://doi.org/10.1073/pnas.2013155118

高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質量が減少すると判明!

数学を捨てたつもりなのに脳の可能性のほうが失われていた
数学を捨てたつもりなのに脳の可能性のほうが失われていた / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

英国では、学生は16歳になると数学を学ばないという選択が可能になります。

英国では大学入学にあたって必要な科目を3つに絞ることが可能であり、文系を目指す場合、ある時点で数学を完全に「捨てる」ことができるんです。

一方、近年の実験心理学の進歩により、特定の学習行動が脳機能に様々な影響を与えることが明らかになってきました。

最も著しい例としては、多国籍語の会話スキルがある人は、認知症にかかりにくいとする研究結果です。

そこで今回、オックスフォード大学の実験心理学部門の研究者たちは、思春期における数学の学習が脳に与える生物学的な変化を調べることにしました。

実験にあたっては14歳から18歳の133人の学生たちの数学学習の有無を調べると同時に、脳の特定領域(中前頭回)における神経伝達物質「GABA(γアミノ酪酸)」の濃度を測定しました。

GABAは高等動物において脳機能の改善や最適化において重要な物質として知られており、日本でもサプリメントとして広く販売されています。

研究者たちが数学とGABAの関係を調べたところ、驚きの事実が判明します。

16歳で数学を「捨てる」判断をした英国の学生たちは、推論・問題解決・記憶など多くの重要な認知機能がかかわる脳領域(中前頭回)でGABAの濃度が有意に低下していることが判明したからです。

また研究者たちは、中前頭回におけるGABAの濃度だけを判断基準にして、学生が16歳で数学を捨てたかどうかを判断できることを示しました。

さらに脳内(中前頭回)のGABA濃度を測定することにより、19か月後の数学の成績を予測することにも成功しました。

加えてGABAの脳内濃度は、数学を「捨てる」以前は変化がなかったことも判明。

これらの事実は、数学という特定の学習内容の有る無しが、個人の脳内物質の濃度に決定的な違いを産んでいたことを示します。

数学以外ではGABA濃度に変化がなかった

研究者たちは数学の代替になる学習内容があるかもしれないと期待している
研究者たちは数学の代替になる学習内容があるかもしれないと期待している / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、数学の学習が脳に生物学的・神経学的な変化を与えることが示されました。

興味深い点は、物理や化学、生物といった他の理系科目の有る無しではGABA濃度の変化が起こらなかったことがあげられます。

物理や化学、生物においても論理的な思考が求められますが、数学の代替にはなりえませんでした。

研究者たちは今後、数学以外に中前頭回におけるGABA濃度の増加をもたらす学習内容を探り、数学が本当に脳にとって特別な刺激なのかを確かめていくとのこと。

数学に匹敵するGABA濃度の上昇をもたらしてくれる学習内容が存在すれば、有益な脳の強化手段となるでしょう。

高校で数学を「捨てる」と重要な脳内物質が減少するのコメント

ゲスト

そんなあ…来年から数学を捨てる予定なのに。でもGABAなら食べ物で補えるよね?

    ゲスト

    いいえ、GABAは血液脳関門を通過できません。どんなに食べても脳内には到達しません。

    ゲスト

    脳腸相関の働きで脳と腸をつなげる迷走神経を経由し刺激が腸から脳に伝わり、GABA
    の産生能力が高まる可能性があるそうです。

ゲスト

捨てる人は当然ですけど学習についていけないから捨てるわけでして、そのついていけないことによる精神的な苦痛が必要なのか、数学という学問のジャンルそのものが必要なのかが分かればよりいい解決法が出てきそうですね。
後者ならついていける範囲だけを重点的にやるようにカリキュラムを変えてしまえばいいのですから。

    ゲスト

    本文最後に記載されていて欲しいコメント。

    ゲスト

    どの科目でも言えることですけど、苦手になる理由って分からないから、ですからね。
    それは本人の才能以前(才能が問題になるところまで行ってない)に教える側の能力不足が問題なわけで、学校の教師自身がその科目のことをほとんど理解してないから教えようがないっていう問題なんですよね。
    まずは教師のレベルをもっと上げないとってやつですね。

ゲスト

数学が得意な人は初めからGABA濃度が高く、数学が不得意な人はGABA濃度が低いという因果が逆だったということはないんだろうか?
数学を捨てるまでは濃度の違いはなかったと言っても、元々16歳くらいでその差が現れるものなのかも知れないし。
もっと広い年齢層や文化圏で広範な調査をしないと一概には言えないと思う。

    ゲスト

    GABA濃度高そうなコメント

    ゲスト

    ちゃんと読んでくれ……

    加えてGABAの脳内濃度は、数学を「捨てる」以前は変化がなかったことも判明。

    ゲスト

    ちゃんと読んでくれ。元コメントにも数学捨てる前には濃度の違いはなかったとしてもと言及してる

Guest01

数学やると脳汁じわって出るのはそのためだった・・・・のか?

ゲスト

高校時代は数学が得意だったけど大学ではさぼりまくって社会人になっては全く触れなくなった。
ずっと体調が悪い状態が続いたので体調がよかった頃の生活習慣をいろいろ取り入れた結果
数学をやってからちょうど体調がよくなったからそれ以来
数学に触れるようにして体調が戻ったんだけど偶然じゃないかも。

ゲスト

算数の時点で捨ててたワイ、多分相当少なそう

    ゲスト

    苦手なもんをあんまり無理して続けてると過負荷になるから諦めるのも大事やで。

ゲスト

数学を捨てるって定義がよくわからない
単純に学んだことない学校行ってないような人は全員ダメになっているのか?
それに単純に数学出来ず捨てた人には元々脳に問題があるってことにもならないか?
それを否定する内容がないから
バカにしたような面白さしかわからん

    さかそう

    俺の場合は本当に数学が無理で、理系だったけど高校時代どれだけ数学を勉強しても赤点だったな。
    「理解はできていないけど勉強はしていた」という場合も、捨てていないということになるのだろうか。

    ゲスト

    この研究で「数学を捨てる」とは、イギリスの教育制度で16歳前後から選択できる「Aレベル」(大学進学を視野に入れた上級科目)において、数学を科目として取らずに他の教科だけを選ぶことを指しています。決して「数学を一切学んだことがない人」や「学校に行けなかった人」を比較対象にしているわけではありません。つまり、義務教育の数学は一通り履修してきたものの、より発展的な数学を学ぶ段階で選択しなかった生徒と、そこで数学を継続して選択した生徒とを比べているのです。

    この研究は、すでにAレベルで数学を履修している生徒と、履修していない生徒の脳内のGABA濃度を比較したところ、前頭前野の一部(中前頭回)において数学を履修していない生徒のGABA濃度が低い傾向があることを示しました。しかし、それだけでは「もともと脳に差があるから数学を選択しなかったのではないか」という可能性を排除できません。そこで、Aレベルを始める前の段階(つまりまだ全員が数学を学習中だが、すでに「将来、数学を選ぶかどうか」を決めている段階)の生徒たちにも同様に測定を行ったところ、その時点では両グループに差が見られなかったのです。ここから、脳のGABA濃度の違いは「先天的な要因」よりも「数学学習の継続の有無」によって生じる可能性が高い、と結論づけることができるわけです。

    さらに、前頭前野のGABA濃度が翌年以降の数学的推論力をある程度予測できる可能性が示唆されました。これは、計算の速さや正確さといった基本的な数的操作だけでなく、文章題や問題解決のような論理的推論を要する課題において、その予測力が見られたという報告です。研究者たちは、思春期後期でも数学的・論理的な課題を継続することが、前頭前野における学習に関連する神経伝達物質の濃度やネットワークに影響を及ぼすのではないかと考えています。

    もちろん、この研究は特定の教育システム(イギリスのAレベル)を念頭に置いているため、世界中どこでも同じことが言えるわけではありません。また、数学以外でも論理やプログラミング、音楽などが同様の効果をもたらす可能性も否定できず、今後さらに検証が必要です。それでも、本研究は「16歳という比較的若い時期に数学から離れること」が、少なくとも論理的思考や高次の数学推論の能力に影響を及ぼしうる点を示唆しています。そして、決して「数学ができない人はもともと脳に問題がある」と結論づけているわけではなく、むしろ「学習の継続が脳の可塑性と関連しているのではないか」というデータが得られた、ということが大きな主張となっています。

    以上のように、この研究は「数学を早期に選択しなくなることで脳の発達や今後の数学的思考に影響が出る可能性」を指摘しているにすぎません。数学を取らない人を否定的に捉えたり、そもそも数学ができない人に先天的な問題があると決めつけているわけではありません。むしろ、「思春期以降も何らかの形で論理や推論の学習環境を保つ必要があるかもしれない」という警鐘といえます。研究者たちは、こうした知見が今後の教育制度や学習支援のあり方を考えるうえで有益な手がかりになると期待しているのです。

    ゲスト

    特定の教科を勉強しないことを捨てると表現するのは学生の間では普通だと思うけど、論文紹介するサイトでその表現を多用するのはどうかと思うよね。
    論文だと意外とそういう気を引くような表現してたりするけど、その代わりに真面目に研究してきてるわけで、紹介する人間が言うのとは訳が違うよね。
    その辺ナゾロジーは分かってない。

    ゲスト

    「数学の学習」と一口にいっても、数学が得意でどんどん学んで吸収していく人と、どれだけ努力しても数学が全くできず、理解できない授業を聞いてノート写しているだけの人では全く脳が受ける刺激は違うと思うんだが、とにかく数学に触れてさえいればいいのか?
    イギリスのAレベルの数学の内容が分からないが、どのあたりの難易度の数学ならGABA濃度に影響するのか、中学レベルでは意味がないのか、逆に大学に進学しても数学を続けていれば、際限なくGABA濃度が上がり続けるのか、例えば物理などは数学が必要になるが、論文中では有意な差がないとなっていて、どこがGABA濃度のフックになっているのかが分からない。
    数学の内容ではなく16歳という年齢が関係している可能性もある(これより若くても老いていても同じ影響があるのか)。
    まだまだ検証することが多くあるように思う。

ゲスト

違う俺が数学に捨てられたんだ

ゲスト

GABA濃度あげれば良いみたいな結び相応しくないんじゃない?
その過程で損なうものだってあるかもしれないんだよ。
今まで”数学捨てるとGABAが減る”って知られてなかったみたいに。

科学者は脳について人間についてまだ理解が及んでないことを認めた上でひとつずつ調べていってるんだから、紹介する側も科学的な広い視点提供しないと。リスペクトが足りないよ。

当然読者に対しての配慮もそう。
印象大事だよ。

むっつりニキ(へそフェチ)

>英国では大学入学にあたって必要な科目を3つに絞ることが可能であり、文系を目指す場合、ある時点で数学を完全に「捨てる」ことができるんです。

日本の私立文系涙目。

根拠不明のバイアス

まあ数学は捨てなくてもいいし
でも
捨てることのメリットは言いずらい

ゲスト

どうしようもない現実ってあると思います

ゲスト

学び直せばgaba増えたりするんかな

知りたがり

前頭葉の中前頭回や頭頂葉、特に中前頭回が数学の様な抽象的な純粋論理の思考に於いて重要な部位であると結論される研究が多くあるようです。その中前頭回に予想されている主な働きは、ザックリ言うと論理推考やワーキングメモリや高い集中力などで、今回の観察結果は、物理や化学などの理系と比べても直感より極端に抽象度が高い論理の厳密さが求められる数学に於いてGABAが重要な鍵を握っていると言うことの様です。
神経回路に於けるGABAの働きは論理ゲートに例えるとNANDゲートみたいな物の様で、中前頭回の外からの入力を極力カットする働きをになっている感じです。他の部位からの信号、例えば思い込みの様な直感を廃したり、限られたリソースを効率良く運用するために雑念や環境雑音等もシャットアウトして集中する働きが他のどの学問よりも必要です。その為にGABAが使われ、そのストックが多く必要な為に、中前頭回での濃度が高くなっているのでは無いか、また学習の継続の有無での濃度の変化と可塑性から将来的な影響も考察しているものの様です。
脳にこの様な影響を与える学問は他にも何かあるかも知れませんが、今の処数学のみの様なので、この考察が正しければ、このデータが数字教育の人生に与える影響などを考える土台になり得るのではと期待している様ですね。

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