魚の「エリート集団」と「落ちこぼれ集団」の誕生
生命は約38億年前に海の中で誕生しました。
それからゆっくりと地道に進化を重ね、「脊索(せきさく)」と「神経管」を持った生物(現生種ではナメクジウオやホヤなど)が生まれます。
この2つの器官がのちに「脊椎」と「脳」に進化して、魚が誕生したのです。
移動力に長けた魚たちは、地球上の海や川へ拡散し、いっきに活動領域を広げていきました。
ここで魚を大きく2つに分類すると、骨格が軟骨でできた「軟骨魚類(サメ、エイなど)」と、骨格が硬い骨でできた「硬骨魚類」に分けられます。
さらに、この硬骨魚類のうち、イワシやサケ、マグロといった大多数の魚を「条鰭(じょうき)類」といいます。
鰭(き)とはヒレのことです。
条鰭類は速く泳ぐことに特化するため、エラ呼吸のみを進化させ、肺は退化させました。その際に、エラ周辺の余分な肉もなくして軽量化しています。
それにより、今日まで続く魚類の一大メインストリームを築き上げたのです。
しかし、その影で落ちこぼれ集団も誕生しました。
「肉鰭(にくき)類」です。
その名の通り、肉鰭類は、肉厚なヒレを持ち、からだもボテッとしたノロマな魚たちでした。
代表格は「生きた化石」と称されるシーラカンスです。
約4億年前のデボン紀に出現し、約6500万年前の恐竜絶滅と同時に大半が姿を消しましたが、1938年にアフリカ沖で生きた個体が発見されています。
彼らは、条鰭類とは正反対で、エラを進化させず、肺もそのまま残し、スピードにも機動力にも欠けていました。
ところが、この鈍臭い肉鰭類から、「陸に上がる」という大偉業がなしとげられるのです。
一体、どうしてでしょうか?