半世紀の沈黙を破った「新種の首長竜」
プレシオネクテス・ロンギコルムの化石は、1978年に発見されて以来、簡単な報告以外にはほとんど調査されず、約50年間も詳細な分析が行われないままでした。
シュツットガルト州立自然史博物館に保管されていた標本(SMNS 51945)は、非常に保存状態が良く、化石化した軟組織の痕跡まで確認できるほどでしたが、これまで正確な分類ができていなかったのです。

今回の研究で注目されたのは、その“首”の異常な長さでした。
なんと頸椎が43個以上も連なっており、首の長さは全身の約40%を占める1.25メートルにも及びます。
これは同時代の他のプレシオサウルス類と比べても極めて長い首の長さです。
さらに背骨上部の突起が異常に低く、首から背中にかけてのシルエットが他の近縁種とは明らかに異なることも判明しました。
チームはこの独特な骨格構造に注目し、「これは既知のどの種にも当てはまらない」として、新属・新種としての記載に踏み切ったのです。
また、この標本がまだ成体ではなかった(骨学的には未成熟)にもかかわらず、特徴が明確だったことも、新種と認定する決め手となりました。
体長は約3.2メートルと推定され、ジュラ紀の他のプレシオサウルス類と比べても十分に大型でした。