激変の時代を生き抜いた未知の海洋種
プレシオネクテス・ロンギコルムが生きていたのは、地球史でも特に重要な時代、トアルシアン期(約1億8300万年前)です。
この時期、地球ではトアルシアン海洋無酸素事変(Toarcian Oceanic Anoxic Event, TOAE)と呼ばれる大規模な環境変動が起きていました。
火山活動によって大量の二酸化炭素が放出され、海水温が急激に上昇、酸素が欠乏した海では多くの生物が絶滅に追い込まれました。
この結果、海水温は緯度によって異なるものの、1~6℃上昇したとされています。
最盛期には、トアルシアン期の表層海水温は平均21℃に達していました。
そうした“海の危機”の最中に、この新種の首長竜は海を泳いでいたのです。
同チームのダニエル・マジア(Daniel Madzia)氏は、今回の発見について「地球の重要な時期における海洋生態系の進化のパズルに新たなピースを加えるものです」と説明しています。