ココがちょっと違うポイント1〜5選
1.蚊から「恐竜DNA」は抜き出せない?
琥珀の中に保存された蚊から恐竜の血液を取り出し、そこからDNAを抽出するというものでした。
しかし、これは本当に可能なことなのでしょうか。
蚊が大量の血を吸うことに成功した後、すぐに木の樹液につかまって、大人しく琥珀に保存されなければなりません。
専門家いわく、この確率は非常に低く、もし恐竜DNAが保存されていたとしても、完璧なDNAサンプルを抽出するのはほぼ不可能とのこと。
恐竜を復活させられるほどのDNAはさすがに蚊が吸った力は手に入らないのかもしれません。
2.肉食恐竜に「羽毛」がない

映画に登場する肉食恐竜に顕著なのは、羽毛が生えていないことです。
恐竜は大きく分けて、「鳥盤類」と「竜盤類」に分類されます。
鳥盤類の方には、トリケラトプスやハドロサウルス、ステゴサウルスなどの草食恐竜が存在します。
一方で、竜盤類は肉食恐竜を代表とし、中でも「獣脚類」には、ティラノサウルスやヴェロキラプトルなどの狂暴な肉食種が含まれます。
そして、近年の研究により、獣脚類こそが、現代の鳥類の祖先だったと判明したのです。
それを支持するかのように、羽毛の痕跡を残した獣脚類の化石が発見され始めており、専門家たちも今では「肉食恐竜のほぼすべてに羽毛があったのではないか」と考えています。
現在の図鑑では、ティラノサウルスも羽毛を生やした状態で描かれ始めています。
ただ映画の公開当時は分かっていなかったことなので、「間違いだ!」と非難しては失礼ですね。
3.化石発掘に「音波スキャン」は使わない
もし化石の発掘に参加する機会があれば、『ジュラシック・パーク』で観たものとはまったく違う、地味な作業であることが分かるでしょう。
映画では、化石の探索に、地中をスキャニングできる音波技術を用いていました。
それによって、どれくらいの深さにどんな恐竜の骨が埋まっているか一目瞭然で分かるのです。
しかし実際の発掘現場では、音波技術はかなり不正確なので、役に立つことはほぼないようです。
ましてや映画のように、化石の全体像がくっきり浮かび上がることもないでしょう。
実際は、ショベルカーで岩の塊を掘り出して、それを手作業で細かく割りながら、化石を探すのが主流でとのこと。
化石の発掘は映画ほどスマートではなく、本当に「骨の折れる」作業なのです。
4.ディロフォサウルスは「毒」を吐かない
ディロフォサウルスは、ジュラ紀(約2億130万〜1億4550万年前)の前期に存在した恐竜で、全長は尻尾を含めて5〜7メートル。
劇中では、首元からエリマキトカゲのようなフリルを広げ、ヘドロのような毒を吐き飛ばしていました。
とても面白い特徴ですが、実際に毒を吐いていたかどうかは誰も分かりません。
原作小説(1990)でも、アゴが貧弱なため、麻痺作用のある毒を吐いて狩りをしていたと描写されています。
しかし化石から毒を吐いた事実はわからず、現在では首元のフリルも存在しなかったのではないかとされています。
ちなみに研究が進んが現在、ディロフォサウルスの復元像は下のように変わりました。

5.恐竜DNAは「ドミニカ産の琥珀」では手に入らない?

劇中に登場した琥珀は、中南米のカリブ海に浮かぶドミニカで採取されたものでした。
実際に、ドミニカでは古生物を保存した琥珀がよく見つかっており、一般向けにも販売されています。
映画の反響もあってか、『ジュラシック・パーク』の公開後、ドミニカ産琥珀の売り上げは500%も増加したそうです。
ところが、ドミニカ産琥珀は、新しいもので1500万年前、古くても4000万年前のものがほとんど。
恐竜は6500万年前に絶滅していますから、その中に恐竜DNAは存在しません。
これまでに見つかった最古の琥珀でも、1億3000万年前のクモを保存したものです。
恐竜時代ではありますが、クモが恐竜の血を吸うことはないでしょう。