乳酸菌と植物エキスの融合が膵臓がん細胞を殺す - ナゾロジー

乳酸菌と植物エキスの融合が膵臓がん細胞を殺す
乳酸菌と植物エキスの融合が膵臓がん細胞を殺す で示された結果は、発酵ステビア葉エキス(FSLE)から得られた「クロロゲン酸メチルエステル(CAME)」という成分が、膵臓がん細胞(PANC-1)の増殖をどのように抑えるのかを詳細に解明したものです。 具体的には、この実験はCAMEという物質が膵臓がん細胞に対して「細胞周期の停止」と「細胞死(アポトーシス)の誘導」の2つの方法で抗がん作用を発揮していることを示しています。まず(A)のグラフは、CAMEを膵臓がん細胞に与えた後の細胞周期の変化を示しており、細胞が分裂して増殖するためのサイクルがG0/G1期という初期段階で停止することを示しています。G0/G1期というのは、細胞が新たに分裂を開始するための準備段階に相当し、ここで細胞を止めてしまえばそれ以上増殖することができません。つまり、CAMEはがん細胞が増え続けることを抑える効果を持つことがわかります。 次に(B)のグラフでは、細胞が自然に死滅する仕組みである「アポトーシス」がCAMEによって引き起こされる様子が示されています。CAMEを与える時間を長くすると(12時間、24時間、48時間)、アポトーシスを起こしている細胞の割合が徐々に増えていきます。特に48時間後では、コントロール(何も与えていない細胞)と比べて顕著にアポトーシス細胞が増加していることが統計的に証明されています(**p < 0.01)。これによって、CAMEはただ細胞の増殖を止めるだけでなく、積極的にがん細胞を死滅させる作用があることがはっきりと示されました。まとめると、この実験はCAMEが膵臓がん細胞に対して2つの重要な効果、すなわち「細胞を初期段階で停止させることによる増殖抑制」と「アポトーシスを促進することによるがん細胞の自滅」を引き起こすことを明らかにしています。これらの効果によって、CAMEが膵臓がんの治療薬として大きな可能性を持つことがわかります。/Credit:Stevia Leaf Extract Fermented with Plant-Derived Lactobacillus plantarum SN13T Displays Anticancer Activity to Pancreatic Cancer PANC-1 Cell Line

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