画像
新発見されたウミグモの一種/ Credit: University of Gothenburg – New deep-sea species discovered during mining test(2025)
biology

エイリアンのような「新種の深海生物」を発見

2025.12.08 12:00:04 Monday

私たちが暮らす地球には、まだ多くの謎に包まれている”もう一つの宇宙”が広がっています。

それが太平洋のど真ん中、4000メートルもの深さにおよぶ深海世界です。

スウェーデン・ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)は最近、この深海世界で、“エイリアン”と呼びたくなるような新種生物を大量に発見しました。

いったい深海の底では、どんな生命が息づいているのでしょうか。

研究の詳細は2025年12月5日付で科学雑誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されています。

Deep sea mining test uncovered multiple new species https://www.popsci.com/environment/deep-sea-mining-new-species/ New deep-sea species discovered during mining test https://www.gu.se/en/news/new-deep-sea-species-discovered-during-mining-test
Impacts of an industrial deep-sea mining trial on macrofaunal biodiversity https://doi.org/10.1038/s41559-025-02911-4

水深4000メートルの未知なる世界と新種発見

今回、世界各国の海洋生物学者たちが共同で挑んだのは、メキシコとハワイの間に広がる「クラリオン・クリッパートン断裂帯(CCZ)」と呼ばれる深海平原です。

ここは大陸サイズの広大な海底で、地球上でもっとも未知な場所のひとつとされています。

調査隊は、国際海底機構(ISA)のガイドラインに沿い、5年もの歳月と160日間にわたる船上調査を行いました。

その目的は、CCZに眠るレアアース(金属資源)の採掘が、深海生態系にどのような影響を与えるのかを確かめることでした。

しかしその過程で、研究者たちは予想外の“宝物”を見つけることになります。

4000メートルの深さにある海底は、光が一切届かず、1年で堆積物が0.001ミリしか積もらないほどの超貧栄養環境です。

そんな過酷な世界から、研究チームは0.3ミリ以上の生物を4350体も採集し、そのうち種として同定されたものは788種でした。

さらに、その多くが未記載の新種と考えられています。

画像
新発見されたウミグモの一種/ Credit: University of Gothenburg – New deep-sea species discovered during mining test(2025)

主な生物は、触手のような姿の多毛類(海毛虫)、不思議な甲殻類、貝類など。

まるで映画に出てくるエイリアンのような、見たこともない形や色を持った生き物ばかりです。

実は、こうした深海域では「新種ラッシュ」が続いており、過去の調査でも5000種を超える新たな生物が発見されています。

深海は“もうひとつの地球”と言っても過言ではありません。

次ページ深海採掘が生態系に与える影響、未解明の謎

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!