生命と非生命の「あいだ」にいる奇妙な微生物 - ナゾロジー

生命と非生命の「あいだ」にいる奇妙な微生物
生命と非生命の「あいだ」にいる奇妙な微生物 論文のFigure 2のAとBは、新しく発見された極端に小さいゲノムを持つ古細菌「スクナアルカエウム・ミラビレ」が、既存の古細菌と比べてどのような位置づけになるかを示したものです。 図2Aは、スクナアルカエウムを含めた主要な古細菌グループの系統関係を樹木状に示しています。この系統樹では、枝の長さが進化の速度や変化の度合いを表していますが、スクナアルカエウムが非常に長い枝として描かれていることから、ほかの古細菌に比べて非常に早い速度で進化したことを意味しています。また、スクナアルカエウムはどの既知のグループにも明確に属さず、古細菌の系統樹の根本に近いところから深く分岐していることも示されています。これはスクナアルカエウムが、これまで知られている古細菌とはかなり異なった新しい系統の生物であることを示唆しています。 一方、図2Bではスクナアルカエウムが系統樹の中で取る可能性がある複数の位置を検討しています。赤い丸で示された場所は、統計的な解析によってスクナアルカエウムが位置する可能性が否定されなかった場所です。具体的には、スクナアルカエウムは、ナノブデラティ(DPANN古細菌)という小型で宿主に依存するグループに近縁か、あるいはメタノバクテリア(旧ユーリ古細菌門)と関連がある可能性があります。ただし、統計的な裏付けが弱いため、どちらの位置も確定できません。これはスクナアルカエウムが既存の古細菌グループとは明らかに異なる独立した系統である可能性を示す一方で、現状ではその正確な位置を特定することが困難であることを意味しています。 これらを総合すると、スクナアルカエウムは既存の古細菌グループとは明確に異なる新規の深い分岐系統であることが分かり、既存の生命の系統分類に新たな枝を加える可能性を秘めているということになります 。/Credit:A cellular entity retaining only its replicative core: Hidden archaeal lineage with an ultra-reduced genome

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!