完璧主義より完成主義のほうが創造性が高いと判明!
「完璧主義は創造性を損なう」という意見は古くからあります。
クリエーターにとって命とも言える創造性には、高い「柔軟性」や「好奇心」が重要な要素となっています。
しかし、思いつきで新しいアイデアを取り入れる姿勢は、完璧主義を目指す人にとっては、受け入れがたいものでしょう。
そのため頭の芯から完璧主義である人は創造的な仕事には向かないと考えられていたのです。
しかし、妥協を繰り返した末に完成した作品は、本当に創造的な作品と言えるのでしょうか?
独創的なアイデアをイメージ通り形にするためには、完璧主義に含まれる要素は必要不可欠なように思われます。
確かに、完璧を目指す忍耐力や持続力が壊滅的に不足している場合、いくらアイディアがあっても創作物は永遠に完成することはありません。
そのため完璧主義が創作の邪魔になるという意見は理解できますが、だからといって完璧主義が創造性を損なうとまで言って良いのでしょうか?
これまでの研究では、こうした完璧主義と創造性の直接的な関係性まではほとんど調べられておらず、完璧主義が本当に創造性を「損なう」のか? あるいは「促進する」のか? といった問題は謎のままでした。
そこで今回、オタワ大学の研究者たちが完璧主義が創造性に与える影響を、創造性を測定する複数のテストで調べることにしました。
調査に当たってまず参加者たちに心理テストを行い、参加者個人の仕事に対する態度が調べられると共に2つの異なる創造性を測るテストを行いました。
1つめのテストは、280人の大学生を対象に「2つの生活用品を組み合わせて思いもよらない使い方」を可能な限りたくさん考え出してもらうというものです。
たとえばトイレットペーパーの芯とまな板で小さなテーブルを作るなどです。
2つめのテストでは、可能な限りたくさん「無関係な単語を並べる逆連想ゲーム」を行ってもらいました。
こちらでは、たとえば「エビと半導体」「スプーンと浣腸」などの無関係な単語をつないでいきます。
いずれも回答数の豊富さから創造性を測ります。
結果、最も創造性が高いと判断されたのは「仕事の完璧さ好む完璧主義者」ではなく「仕事の完成を好む完成主義者(excellencism)」と呼ばれる人々であることが判明します。
(※「excellencism」の元となる「excel:エクセル」には卓越・優秀・長所・美徳といった意味が含まれていますが、excellencismが最も好む性質が「仕事の完成」であるため完成主義者と表現しています)
この結果は、適度な完璧さで妥協しつつ高品質な仕事を完成させられる人(ある意味でプロフェッショナルな人)が、最も創造性が高いことを示しています。