マウスには捕食者の熱を検知する「赤外線探知毛」がある可能性!
生態系の底辺近くに存在するマウスなどの小型の「げっ歯類」は、ネコ・フクロウ・オオカミ・キツネなどさまざまな捕食者の獲物として狩られる運命にあります。
マウスも鋭い嗅覚・聴覚・視覚を備えているものの、残念ながら捕食者の知覚はマウス以上に優れており、知力・筋力・速力においても捕食者が圧倒しています。
そのため多くの場合、発見と同時にマウスは美味しく食べられてしまいます。
一方、民間企業に勤める物理学者のベイカー氏は、夜になると赤外線カメラを持ちだして、自宅近くの野原や森で動物たちの活動を記録する活動をつづけていました。
赤外線カメラは動物の熱源に依存した映像を見せてくれるため、通常の日の光(可視光)で見るのと違った姿を映し出します。
そんな地道な観察を続けていると、ふとベイカー氏は奇妙な事実に気付きました。
マウスに飛び掛かるネコや、木の枝から急降下しようとするフクロウたちの赤外線映像をスローでみていると、熱反応の強さを示す暖色や白色が、襲い掛かる瞬間だけ、大幅に小さく見えることに気付いたのです。
例えばネコでは、上の画像のように、湿って冷たくなった鼻を突き出し目を細めることで、顔周辺の熱反応が大幅に減少していました。
またフクロウの場合も、マウスに向けて急降下する直前、高温の目が伏せられた状態になっており、羽が大きく背側にまわることで、羽の内側の体温の高い部分が見えなくなっていたのです。
普通の人間ならば、単なる偶然と切り捨てるところですが、赤外線と長く付き合っていたベイカー氏は違いました。
捕食者が飛び掛かる直前に赤外線カメラに映りにくくなる(高温部分を隠す)のは、マウスなどのげっ歯類に、赤外線を探知する能力があるせいだと直感したのです。
さっそくベイカー氏は、多くの動物の生態情報が記録されたデータバンクを検索し、マウスの体の構造を調べてみました。
実験動物として、地球上で最も研究が進んでいるマウスは、体の細部に至るまでデータベース化されており、実際にマウスを調べなくても、調査が可能になっています。
民間の研究者の思い付きは、世紀の大発見となったのでしょうか?
結論から言えば、大当たりに近いと言える結果が判明します。