土星が衛星の数で単独トップに!
これまで太陽系惑星の中で「衛星の数」で首位を競っていたのは、木星と土星でした。
木星と土星は衛星の総数で抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り返しており、木星は現時点で95個の衛星が確認されています。
この2大惑星が他を寄せ付けない状態でしたが、ここで土星が頭一つ抜けて単独首位に躍り出ることになりました。

台湾、カナダ、アメリカ、フランスの国際的な天文学研究チームは2019年から2021年にかけて、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)を使用し、土星の周辺を観測しました。
研究チームが使用したのは「シフト・アンド・スタック(Shift and Stack)」という技術です。
この手法では、土星周辺の連続した画像を取得し、衛星の軌道を追跡しながら画像を合成することで、極めて暗い天体でも視認できるようになります。
例えば、小さな衛星は単独の画像では検出が難しいですが、何十枚もの画像を重ねることで、背景のノイズに埋もれた衛星の光を強調し、識別することが可能になるのです。
この技術により、最初の観測だけでも62個の新たな衛星が発見されました。
さらにその後、2023年に追加観測を行い、結果として合計128個の衛星が新たに土星の傘下として仲間入りすることになったのです。
これで土星の衛星の数は計274個となりました。
これは他の太陽系惑星が持つ衛星の数をすべて合わせたもののほぼ2倍に匹敵するという。
研究主任の一人であるエドワード・アシュトン氏は「私たちの予測では、木星がこの数に追いつくことはないでしょう」と話しています。
では、なぜ土星にはこれほど多くの衛星が存在するのでしょうか?