オールトの雲は単なる球形ではない可能性がある

オールトの雲とはもともと長周期彗星(LPC)の起源を説明するために提唱された領域で、太陽から数千〜十万天文単位以上という、とてつもない遠方まで広がっていると考えられています。
とはいえ、実際に天体を直接観測するのはきわめて難しく、特に“内側オールト雲”と呼ばれる1,000〜10,000天文単位付近の詳細は長らく謎のベールに包まれていました。
ところが最近、「この内側オールト雲は長期的に見るとただの球殻や円盤ではなく、何らかの秩序だった形を持っているのではないか」という見方が浮上しています。
どうしてそんな形が生まれるのか、そしてそれがいかなる特徴を持つのかは、多くの研究者にとって大きな興味の的でした。
そこで今回、研究チームは数十億年という長い時間スケールを考慮した大規模数値シミュレーションを行い、さらに理論モデルを組み合わせることで、「太陽系の端に存在するとされる天体群が、実際にはどのような形を作り上げているのか」を探ることにしたのです。