「2000年前のマンモス化石!?」、実はクジラの骨だった
化石の放射性炭素年代測定を積み重ねた結果、ベーリング地域本土のケナガマンモスは、約1万3000年前にはいなくなったと考えられてきました。
ところが近年、永久凍土に残る環境DNA(environmental DNA)の研究から、マンモスが完新世(約1万1700年前以降)まで生き延びた可能性が示唆されました。
化石記録が示す年代と、DNAが示す年代が一致しないのです。
この食い違いを解消するには、年代が確かな「最も新しいマンモス化石」を増やし、どこまで若い個体が本当に存在したのかを丁寧に確かめる必要があります。
そこで始まったのが、2022年に立ち上げられた「Adopt-a-Mammoth」プロジェクトです。
博物館などの収蔵標本を見直し、放射性炭素年代測定を受けたマンモス化石を増やしていくことで、若い年代の標本を探し当てようとする試みでした。
この流れの中で注目されたのが、1950年代に採集され、長年「マンモスの脊椎の一部」として保管されてきた2つの標本です。
2022年に放射性炭素年代測定が行われたところ、約1900〜2700年前という、常識を大きく揺るがす結果が得られました。
もし本当にマンモスなら、これまでで最も新しい年代のマンモス標本になり得ます。
しかし、研究チームはこの結果をそのまま受け取らず、「本当にマンモスの骨なのか」を別の方法で確かめることにしました。
その検証の結果、この2つの骨はマンモスではなく、いずれもクジラに由来するものであることが明らかになりました。
本文2では、その詳しい結果と理由について説明します。


























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