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Credit: Waterloo News – Chasing its tail in the cosmos(2025)
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2本の巨大な尾をもつ「異例の惑星」を発見、その正体とは?

2025.12.16 17:00:44 Tuesday

宇宙を漂う彗星には、長く伸びた尾がつきものです。

しかし今回、天文学者たちは、彗星ではない「惑星」が、しかも2本もの巨大な尾を引きずっている決定的な証拠を捉えました。

その天体は、地球から約880光年離れた場所にある太陽系外惑星・WASP-121 bです。

カナダ・モントリオール大学(UofM)らは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)の連続観測によって、これまで誰も見たことのない惑星の姿が明らかにしました。

研究の詳細は2025年12月8日付で科学雑誌『Nature Communications』に掲載されています。

Chasing its tail in the cosmos https://uwaterloo.ca/news/chasing-its-tail-cosmos Webb Telescope Reveals Double Helium Tails Escaping from a Hot Jupiter https://exoplanetes.umontreal.ca/en/webb-telescope-reveals-double-helium-tails-escaping-from-a-hot-jupiter/
A complex structure of escaping helium spanning more than half the orbit of the ultra-hot Jupiter WASP-121 b https://doi.org/10.1038/s41467-025-66628-5

恒星に焼かれる「超高温木星」という極限環境

今回の主役であるWASP-121 bは「超高温木星(ウルトラ・ホット・ジュピター)」と呼ばれるタイプの系外惑星です。

木星と同程度の巨大なガス惑星でありながら、母星のすぐ近くを公転しており、1年はわずか30時間しかありません。

恒星との距離があまりにも近いため、WASP-121 bの大気は数千度まで加熱されています。

この極端な高温環境では、水素やヘリウムといった軽いガスが重力を振り切り、宇宙空間へと逃げ出していきます。

これまでにも、こうした「大気流出」を示す系外惑星はいくつか知られていました。

しかし従来のトランジット観測は、惑星が恒星の前を横切る短い時間に限られており、流出がどこまで広がり、どのように変化するのかは分かっていませんでした。

そこで研究チームは、JWSTに搭載された近赤外線撮像・スリットレス分光器NIRISSを用い、WASP-121 bを約37時間にわたって連続観測しました。

これは1公転以上に相当し、惑星の大気が「逃げ続ける様子」を初めて丸ごと捉えた観測となりました。

次ページ2本の巨大な尾が示す惑星の新たな姿

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