2本の巨大な尾が示す惑星の新たな姿
観測の結果、研究者たちはWASP-121 bの周囲に、想像を超える構造を発見しました。
惑星から流れ出したヘリウムが、1本ではなく2本の巨大な尾を形成していたのです。
1本は、恒星の放射と恒星風によって惑星の後方へ押し流される「後方の尾」。
もう1本は、恒星の重力に引き寄せられ、惑星の進行方向前方へ湾曲する「前方の尾」です。
これら2本の尾は、合わせると惑星直径の100倍以上に広がり、惑星の公転軌道の半分以上を覆っていました。

単一の尾なら既存のモデルでも説明可能ですが、異なる方向に伸びる二重構造は、これまでの理論では十分に再現できません。
この発見は、大気流出が単なる一方向の「ガス漏れ」ではなく、恒星の重力、放射、恒星風が複雑に絡み合った三次元的な現象であることを示しています。
さらに重要なのは、この現象が惑星の運命そのものに深く関わる点です。
長い時間をかけて大気を失えば、巨大なガス惑星が海王星サイズに縮小したり、最終的には岩石の核だけが残ったりする可能性もあります。
WASP-121 bは、そうした惑星進化の「途中経過」を、まさにリアルタイムで見せてくれている存在なのです。
今回の発見は、惑星が誕生した瞬間の姿のまま存在し続けるわけではないことを、強く印象づけます。
恒星との距離や環境によって、惑星は形も性質も大きく変わっていくのです。
2本の巨大な尾を引くWASP-121 bは、そうした変化の最前線にある「異例の惑星」といえるでしょう。



























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非常に面白い記事でした。
惑星の変化の最中を捉えられた貴重な記録が後世にも残せるのは喜ばしい事ですね。