火星最大の峡谷で見つかった「河川デルタの痕跡」
火星に水が存在したかどうかは、惑星科学における最重要テーマの一つです。
これまでにも、川の跡や水によって変質した鉱物などから、火星がかつて湿潤な環境だった可能性は指摘されてきました。
今回注目されたのは、赤道付近に広がる火星最大の峡谷群「マリネリス峡谷」です。
全長は地球のグランドキャニオンの約5倍にも達し、火星の地形史を読み解く重要な場所とされています。

ベルン大学を中心とする国際研究チームは、複数の火星周回機が撮影した高解像度画像を詳細に解析しました。
その結果、峡谷の縁に「地球の河川デルタと極めてよく似た堆積構造」を発見したのです。
これらは、川が海などの静かな水域に流れ込む際に、砂や礫が扇状にたまってできる「扇状デルタ」と解釈されました。
重要なのは、これらの堆積物が偶然できたものではなく、「水中でなければ形成できない構造」を持っている点です。
さらに、これらのデルタ状堆積物は、ほぼ同じ標高帯に揃って分布していました。
これは堆積当時に安定した水面、つまり「海岸線」が存在していたことを示唆します。


























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