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Credit: ja.wikipedia
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島暮らしのウサギは大人になるのに「5倍の時間がかかる」と判明!

2025.04.09 12:00:59 Wednesday

島で育つと成長スピードがゆっくりになるようです。

岡山理科大学と東京大学の研究チームは、奄美大島と徳之島に生息する日本の特別天然記念物「アマミノクロウサギ(学名:Pentalagus furnessi)」の成長速度を分析。

その結果、一般的なウサギ類が1年以内に成熟するのに対し、アマミノクロウサギは約5年という長い時間をかけて成熟することが明らかになりました。

これは現生の哺乳類では世界で初めて確認された極端に遅い成長パターンとのことです。

研究の詳細は2025年4月2日付で科学雑誌『Mammal Study』に掲載されています。

島暮らしのアマミノクロウサギは「ゆっくり成長」 ――成熟までの期間が近縁種の5倍、現生哺乳類では世界初の発見―― https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/11526.html
Bone Histology Reveals the Slow Life History and Skeletal Adaptations of the Amami Rabbit Pentalagus furnessi (Lagomorpha: Mammalia) https://doi.org/10.3106/ms2024-0064

大人になるまでに5年もかかっていた!

私たちがよく知るウサギは成長スピードが早く、多産であることが知られています。

おおよそ1年のうちに成熟し、妊娠期間はたったの1カ月ほどで、一度に1〜8匹の子供を出産します。

さらにこれを年に数回繰り返すことがあるほど、繁殖能力の高い生き物です生き物です。

ところが南西諸島の奄美大島と徳之島に生息する「アマミノクロウサギ」はまったく違っていました。

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Credit: 東京大学 – 島暮らしのアマミノクロウサギは「ゆっくり成長」 ―成熟までの期間が近縁種の5倍、現生哺乳類では世界初の発見―(2025)

研究チームは今回、アマミノクロウサギの成長速度を明らかにすべく、恐竜研究において確立された「骨組織学的分析(ボーンヒストロジー)」という方法を用いて、本種の骨を調べることに。

これは骨を薄くスライスして内部の組織を顕微鏡で観察し、骨の成長プロセスや速度などを推測する分析手法です。

アマミノクロウサギの標本から大腿骨(ふともも)や脛骨(すね)を薄くスライスして顕微鏡で観察した結果、生後2年ほどは急成長し、その後は緩やかな成長に移行すると判明。

そして成長停止線が完全に形成され、骨の成長が止まるまで、すなわち完全に大人になるまでに約5年かかっていたことがわかったのです。

あらゆる哺乳類において、こうした極端な成長の遅さは、これまで絶滅した化石種でのみ知られていましたが、現在生きている種では世界初の発見だといいます。

では、アマミノクロウサギはなぜこんなにゆっくりと成長するのでしょうか?

次ページなぜ成長速度は遅いのか?

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