大人になるまでに5年もかかっていた!
私たちがよく知るウサギは成長スピードが早く、多産であることが知られています。
おおよそ1年のうちに成熟し、妊娠期間はたったの1カ月ほどで、一度に1〜8匹の子供を出産します。
さらにこれを年に数回繰り返すことがあるほど、繁殖能力の高い生き物です生き物です。
ところが南西諸島の奄美大島と徳之島に生息する「アマミノクロウサギ」はまったく違っていました。

研究チームは今回、アマミノクロウサギの成長速度を明らかにすべく、恐竜研究において確立された「骨組織学的分析(ボーンヒストロジー)」という方法を用いて、本種の骨を調べることに。
これは骨を薄くスライスして内部の組織を顕微鏡で観察し、骨の成長プロセスや速度などを推測する分析手法です。
アマミノクロウサギの標本から大腿骨(ふともも)や脛骨(すね)を薄くスライスして顕微鏡で観察した結果、生後2年ほどは急成長し、その後は緩やかな成長に移行すると判明。
そして成長停止線が完全に形成され、骨の成長が止まるまで、すなわち完全に大人になるまでに約5年かかっていたことがわかったのです。
あらゆる哺乳類において、こうした極端な成長の遅さは、これまで絶滅した化石種でのみ知られていましたが、現在生きている種では世界初の発見だといいます。
では、アマミノクロウサギはなぜこんなにゆっくりと成長するのでしょうか?