「人差し指と薬指」の長さ比と同性愛傾向が関連していた

22万人という巨大なデータを再分析した結果、男性にも小さいものの一貫した傾向が見えてきたのです。
同性にのみ惹かれる男性は、異性愛の男性に比べて、指の比率がわずかに女性的な方向(人差し指が相対的にやや長め)に近づいていました。
つまり、昔は見えにくかった男性のデータが、今回の大規模な分析ではっきりと姿を現したのです。
この新しい傾向が見えてきた背景には、研究チームが行ったいくつもの工夫があります。
まずは、単に人数を増やしただけではなく、これまで研究者が「引き出しの中にしまっていた未公表のデータ」まで丁寧に掘り起こしたことです。
科学の世界では、はっきりした結果が出た研究ほど、論文として発表されやすいのですが、そうでない研究は表に出にくいのです。
そこで今回の研究者たちは、300人近い研究者に直接連絡を取り、眠っていた未発表データまで集めました。
そのおかげで、結果が片寄ってしまう可能性を減らす工夫ができました。
さらに今回の研究では、バイセクシュアル(同性と異性の両方に惹かれる)という人たちを、これまでの研究のように「同性に惹かれるグループ」と一緒にするのではなく、きちんと分けて分析しました。
その結果、バイセクシュアルの人の指の比率は、同性愛者よりも異性愛者に近い傾向が見られました。
つまり、これまで同性に惹かれる人全体をひとまとめにしていたことで、実は結果がぼやけて見えづらくなっていた可能性があるわけです。
今回の新しい発見は、こうした非常に慎重で丁寧な作業から生まれたと言えるでしょう。
ここまでの話を聞くと、「指の比率を見れば、その人が同性に惹かれるか異性に惹かれるか簡単に分かるのかな?」と思った人もいるかもしれません。
確かに、今回の研究では人差し指と薬指の長さの比率に、性的指向との関連において統計的な優位差がみつかりました。
(※男性の場合、同性愛者は異性愛者に比べて相対的に人差し指が長め、薬指が短めでな傾向、また女性の場合、同性愛者は異性愛者に比べて相対的に人差し指短め、薬指が長めになになる傾向など)
実際、このデータをもとに同性愛者か異性愛者の判別を試みた場合、あてずっぽうよりも多少良い当たりやすいのも確かです。
でも実際には、話はそこまで簡単ではありません。
性的指向は、単一の原因で決まるものではなく遺伝、ホルモン、免疫反応、環境など、さまざまな要因が組み合わさって形成されると考えられています。
中には今回の研究結果の枠組みに当てはまらない同性愛者も存在します。
それでも今回の研究は、性的指向の測り方についても重要な提案をしています。
私たちはよく「異性愛」「バイセクシュアル」「同性愛」というように、人の性的指向を簡単に分類します。
でも、バイセクシュアルの人の指の比率は、同性愛者よりも異性愛者に近い傾向がみられるなど、同性愛と異性愛の中間のようなイメージとは異なるものになりました。
そのため研究チームは今後、「男性に惹かれる気持ち」と「女性に惹かれる気持ち」をそれぞれ別々に測ることで、より正確に人の性的指向を理解できるようになる可能性があると指摘しています。
人の心をあまりに大ざっぱに分類してしまうと、本当に見えるはずの小さな違いや影響が消えてしまう可能性があるのです。


























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