「自分は敏感」という感覚と、実際の検出能力を比較
心理学では、刺激を深く処理し、刺激の多い環境で圧倒されやすいといった個人差を表す概念として、「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity:SPS)」が提案されています。
一般に感受性が高い人(HSP)と関連づけられる概念ですが、今回の研究では参加者一人ひとりのSPS得点を測り、得点が高いほど実際の感覚能力も高くなるのかを調べています。
研究には19~43歳の女性150人が参加し、平均年齢は23.45歳でした。
参加者はまず、SPSを測るDOES ScaleとHighly Sensitive Person Scaleという2種類の質問票に回答しました。
質問票では、刺激に圧倒されやすい傾向、環境の細かな変化に気づくという自己認識、感情的な反応の強さなどが測定されます。
さらに、結果が一般的な性格傾向の影響を受けていないか確認するため、外向性と神経症傾向も調べています。
ここでいう神経症傾向とは、不安や心配、ストレスなどを経験しやすい性格傾向のことです。
続いて研究チームは、弱い刺激に初めて気づける「検出閾値」を、聴覚、温度感覚、嗅覚、身体の動きを検知する前庭覚おいて測定しました。
音量を変化させてどれほど小さな音まで聞き分けられるかを調べ、濃度を変えたにおいを嗅ぎ分ける実験や、腕の温度変化に気づく実験も行っています。
前庭覚の実験では、参加者を左右に動く装置へ座らせ、目隠しと雑音によって手掛かりを遮ったうえで、どちらへ動いたかを答えてもらいました。
また、音、光、熱をどの強さから不快または痛いと感じるかも測定しました。
なお、視覚について調べたのは弱い光を見つける能力ではなく、光を不快と感じ始める明るさです。
こうした実験の結果、SPS得点が高いとしても、その人は、小さな音、薄いにおい、温度変化、身体の動きを他の人より早く検出できるわけではありませんでした。
音や光を不快と感じる境目には一部で小さな関連が見られましたが、一貫した結果ではありませんでした。
では、感受性の強さと比較的はっきり関連していたものは何だったのでしょうか。
より詳しい結果を次項で見ていきます。































