「悪口が多い人は語彙が少ない」は本当なのか?
日常会話では、罵り言葉を使う人に対して「教養がない」「言葉を知らない」「自制心がない」といった印象が向けられがちです。
この背景には、悪口や罵り言葉は、適切な表現が思いつかないときの“逃げ道”だという考えがあります。
例えば怒ったとき、細かく状況を説明できないから、とりあえず強い言葉で感情をぶつけているように見えるわけです。
しかし、人間の発話の仕組みを考えると、単語が出てこないときに人はすぐ罵り言葉を出すわけではありません。
多くの場合、「ええと」「あの」などのつなぎ表現を使ったり、少し黙ったりします。
そこで研究チームは「罵り言葉を使う人は語彙が少ない」という、いわば“語彙不足仮説”を実験で調べることにしました。
彼らが使ったのは、心理学でよく用いられる「言語流暢性」の課題です。
これは、制限時間内に指定された条件に合う単語をできるだけ多く挙げてもらうテストです。
例えば「Fで始まる単語をできるだけ多く言ってください」と指示すると、語彙が豊富で、言葉を素早く取り出せる人ほど多くの単語を出せます。
研究では、この標準的な単語課題に加えて、「動物の名前をできるだけ多く挙げる課題」と、「罵り言葉やタブー語をできるだけ多く挙げる課題」が行われました。
最初の実験では、43人の大学生が一人で部屋に入り、録音機に向かって回答。
参加者は、F・A・Sの各文字で始まる単語を1分ずつ挙げ、その後に動物名とタブー語についても同じように回答しました。
すると、結果は一般的なイメージとは逆でした。
普通の単語を多く挙げられる人ほど、動物名も多く挙げられ、さらにタブー語も多く挙げられる傾向があったのです。
つまり、罵り言葉を多く知っていることは、語彙が貧しい証拠ではありませんでした。
むしろ、心の中の言葉の引き出しが広く、そこから素早く取り出せる能力と結びついていたのです。






























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