なぜクジラの骨は500万年以上も残ったのか
深海に沈んだ死骸は、普通なら長くは残りません。
肉は食べられ、骨も骨を食べる生物や化学的な作用によって、しだいに失われていきます。
では、なぜディアマンティナ断裂帯では、530万年前のクジラ化石まで残っていたのでしょうか。
その鍵の1つが、今回多く見つかった「アカボウクジラ類」にあります。
アカボウクジラ類は、外洋に暮らし、深く長く潜ることで知られるクジラの仲間です。
人間が観察しにくい場所で生活しているため、現在でも生態には分かっていない点が多くあります。
今回の化石の多くは、このアカボウクジラ類の頭骨、特に上顎からくちばしのように伸びる吻部(ふんぶ)でした。
【実際に発見された吻部の化石の画像がこちら】
この部分は非常に密度が高く、鉱物成分も多い骨です。
そのため、深海に沈んだ後も腐食せずに長く残りやすかったと考えられます。
さらに、骨の表面に鉄マンガン酸化物が付着すると、骨はまるで天然の石棺に包まれたような状態になります。
これにより、骨の分解が抑えられ、数百万年単位で保存された可能性があるのです。
加えて、ディアマンティナ周辺は堆積物がたまりにくい場所でもあります。
通常、海底の古い骨は、泥や砂に埋もれて見えなくなります。
しかし、この場所では堆積速度が非常に遅いため、骨が長い間、海底に露出したまま残りやすかったと考えられます。
つまり、このクジラ墓場は、クジラの骨そのものの丈夫さと、深海の地形・堆積環境が重なって生まれた、きわめて特殊な化石アーカイブだったのです。






























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