脳から見た3つの暗い性格特性の共通点と違い
研究チームはさらに、ダークトライアド傾向が高い群の中で、3つの性格傾向を別々に解析しました。その結果、それぞれに脳構造で異なる特徴が見られることもわかりました。
マキャベリズムのスコアが高い人では、左の背外側前頭前野の灰白質体積が小さい傾向が示されました。
背外側前頭前野は、道徳的な判断や、感情に流されず、状況を整理しながら判断する働きと関わる領域とされています。
マキャベリズムは、目的のために他人を操作しようとする傾向があると言われます。そのため、この領域の灰白質体積が小さいことが、他人との関係を判断する場面で、道徳的な配慮や感情的な判断をしづらい傾向と関連している可能性があります。
ナルシシズムのスコアが高い人では、前帯状皮質、内側眼窩前頭皮質、島皮質、上側頭回などで、灰白質体積が小さい傾向が示されました。
これらは、感情の処理、自分への評価、体の内側の感覚、他人の表情や声の理解などと関わる領域とされています。
ナルシシズムは、自分を特別視しやすく、他人への共感が弱い傾向があると言われます。これらの領域の灰白質体積が小さいことは、そのような自分をどう評価するか、他人の感情をどう受け取るかについて、他の人たちとは異なる処理を脳が行っている可能性を示しています。
サイコパシーのスコアが高い人では、前帯状皮質と左の背外側前頭領域で、灰白質体積が小さい傾向が示されました。
前帯状皮質は感情や葛藤の処理に関わり、背外側前頭領域は道徳的な判断や、感情に流されずに行動を選ぶ働きと関わる領域とされています。
サイコパシーは、冷淡さや衝動性、罪悪感の薄さなどが特徴の性格特性です。そのため、これらの領域の灰白質体積が小さいことは、他人の苦痛への反応や、自分の行動にブレーキをかける能力の低さと関連している可能性があります。
こうした結果から、ダークトライアドには共通する脳構造上の特徴がある一方で、ナルシシズム、マキャベリズム、サイコパシーにはそれぞれに脳に異なる特徴があることも示されました。
ただし、この研究だけで「脳の構造が性格を作った」とまでは言えません。
今回の研究は、性格傾向と脳構造に関連性があることは示されていますが、これは因果関係を示しているわけではありません。
また、対象者は高い群24人、低い群27人と小規模で、参加者は男性のみでした。
そのため、女性や他の年齢層、異なる文化背景の人にも同じ結果が当てはまるかは、今後の研究を待つ必要があります。
さらに、灰白質の体積差が実際の行動や共感の働きにどうつながるかも、構造MRIだけでは判断できません。だから今回の研究から、MRI画像だけで個人を「ナルシスト」や「サイコパス」と判断できるようになるということにはなりません。
今後は、より大きなサンプルを用いた研究や、脳活動を調べるfMRI、実際の対人判断や共感性を測る行動実験との組み合わせが重要になります。
とはいえ、私たちが性格として見ているふるまいの一部が、脳の構造とも関係している可能性が今回の研究からは示されています。
こうした研究がもっと進めば、話さなくても相手がどんな人かわかる時代も来るのかも知れません。





























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