ミオグロビンは作れたが、ヘムの取り込みに課題
ミオグロビンは、葉に含まれる総可溶性タンパク質のうちタバコで平均約2.7%、レタスで約1.5%を占めました。
乾燥重量1kg当たりでは、レタス約810mg、タバコ約800mgです。
一方、論文が比較に挙げた牛の2種類の筋肉では、1kgあたり約8100~1万1160mgで、今回の植物のおよそ10倍でした。
それでも研究者らは、植物栽培は畜産より資源効率が高いため、将来は土地面積当たりの生産量で畜産に匹敵する可能性があるとしています。

ただし、これは今回直接確かめた結果ではなく、実際の生産効率やコストは今後の検証が必要です。
そして、もう1つの重要な課題は「ヘム」でした。
タバコから精製したミオグロビンは、ミオグロビンらしい立体構造を示していましたが、ヘムまで結合していた割合は約35%でした。
大腸菌で作ったミオグロビンでは約80%だったため、植物ではヘムの供給やミオグロビンへの組み込みがボトルネックになっている可能性があります。
実際、ミオグロビンを作るタバコでは総ヘム量が約2倍に増えていましたが、それでもヘムの合成量や細胞内での輸送・分配が十分ではなく、ミオグロビンへの取り込み効率も限られていたため、必要量は行き渡りませんでした。
一方、タバコでは主要な光合成指標に明確な低下は見られず、ミオグロビン生産が光合成を大きく損なわなかったことも確認されました。
ただし詳しい生理学的解析は主にタバコで行われ、レタスについては十分に調べられていません。
今後は複数の系統で再現性を確かめながら、ヘム生産やその取り込みを改善し、食品中での色や風味、大規模生産のコストや規制面も検討する必要があります。
今回誕生したのは「肉味のレタス」ではありません。
それでも植物に「肉の特徴を生み出す重要なタンパク質」を作らせる、新しい食品生産への一歩が示されたのです。


























