海上風力発電機の根元は人工の漁礁になっている
アメリカ東海岸のバージニアビーチから40kmほど離れた場所には現在、2基の海上風力発電機が建設されています。
風力発電機は巨大であり、水面からの高さは180m以上、水中にあるスチール製の基礎部分も40m近くに及びます。
風力発電機の運用は去年の10月から開始されており、監視用に水上及び水中には監視カメラが設置されました。
ですが監視がはじまってから6カ月後、水中カメラに映る景色は劇的に変化していました。
水中にある風力発電機の基礎部分は一面が藻で覆われ、ムール貝などの貝も張り付いており、周囲にはシイラ・シーバスなど多くの魚のたまり場にもなっていました。
このような豊かな生態系が築かれた要因は、風力発電機の基礎部分の構造にありました。
水中に伸びる基礎の表面は多くの窪みがあり、また根元部分は水流からの保護のために護岸などのために置かれる大きな石(テトラポッドのようなもの)が敷き詰められていました。
これら複雑な構造が、海流の流れを緩やかなものとすると同時に、海洋生物の住処としても機能し、漁礁として機能するようになっていたのです。
同様の意図しない漁礁化は、他の海上構造物でも起きています。
例えばカリフォルニア沖合にある古い石油採掘装置の周辺には、サンゴ礁が形成されていることが知られています。
水中に打ち込まれた巨大な構造物が小さな生命の生活の場所となり、大きな魚を引き付けることで生態系がうまれていたのです。
ドミニオン社は今後、海洋科学研究所と協力して風力発電機が地元の漁業に与える影響を調べていくとのこと。
また同社では2026年までに、風力発電機の数を現在の2基から180基に増設することを計画しています。
もし漁獲量が大幅に上がるなどプラスの影響がある場合、日本でも海上風力発電の導入が進むかもしれません。
また豊かな海洋生態系はスキューバダイビングなどのレジャースポーツのスポットにもなる可能性を秘めています。
※この記事は2021年10月に公開のものを再掲載しています。
日本でも漁業者による反対があると聞くが、逆に、漁獲高に貢献しますよね。
浮上体でも、パヤオの例もあるから、漁業者が風力発電に反対する理由は無いと思うが。