幼稚園児に服が与える影響を調べる
服は自己の内面や思想を表現する手段です。
そのため思想をコントロールしたい独裁者はときに、ファッションの取り締まりに躍起になりました。
一方で「型から入る」の言葉のように服が外側から自己の内面に働きかけることも知られています。
自分に自信がなかった人でも、最高級のスーツやドレスを身にまとい高級な腕時計やバッグを持つことで、身のこなしがいつの間にか「大物」っぽくなっていたりするからです。
しかし、服が就学前の子どもにどのような影響を与えるかは詳しく知られていませんでした。
そこで今回、ブリガムヤング大学の研究者たちは、3歳~5歳の223人の幼稚園児たちに服が与える影響を調べることにしました。
実験にあたっては「男女らしさを後押しするヒーローやお姫様の服」「性的に中立な服」「女戦士や着ぐるみのような男女らしさに反する服」が選ばれました。
(※具体的には男女らしい服にはバットマンと白雪姫、中立な服にはカボチャのデザイン、男女らしさに反する服にはワンダーウーマンとユニコーンのデザインなどが選ばれました)
結果、意外な事実が判明します。
子どもたちは通常、女の子ならば人形やおままごとセットなど女の子用のおもちゃに興味を示し、男の子はトラックや飛行機など男の子用のおもちゃを好みます。
しかし男の子に性的に中立な服を着せた場合、男らしいヒーローの服を着た時に比べて、より女の子用のおもちゃで遊ぶようになったのです。
研究者たちは、性的に中立な服が男の子に芽生え始めていたジェンダーの意識を低下させた可能性があると考えました。
一方、女の子の場合は異なり、服の種類はおもちゃの好みに影響を与えませんでした。
女の子のおもちゃへの好みはブレず、お姫様の服でもヒーローの服でも、人形やおままごとセットを選んだのです。
しかしより興味深い変化は、お姫様の服を着た男の子に現れました。