人型ロボット「ナディア」がミット打ちを披露する
現在、IHMCとBoardwalk Roboticが協力して開発しているのは、次世代の人型ロボット「ナディア(Nadia)」です。
研究チームの目標は、「ナディアに人間と同じ可動域を与える」ことです。
そこでチームは、「人間の動きを極めようと励む」体操選手を参考にして、彼らの身体の可動域をロボットに獲得させることを目指しています。
そのため「ナディア」という名前は、1993年に国際体操殿堂入りしたルーマニアの女子体操選手ナディア・コマネチ氏から取られました。
人型ロボットが人間と同じように動けるなら、危険な環境でも遠隔操作を用いて人間の代わりに作業できます。
例えば、消火活動、災害救援、爆発物処理などを、誰も危険にさらすことなく行えるでしょう。
そしてこれらロボットをレバーやボタンで操作するのではなく、オペレーターの体の動きをそのまま反映させることができるなら、有用性は大きく広がります。
実際、研究チームによると、「ナディアがもつ29の可動域は、世界の人型ロボットの中で最も大きい」ようです。
また、油圧アクチュエータと電動アクチュエータの組み合わせにより、人型ロボットの中で最高の出力重量比を目指しています。
そんなナディアは、VRゲームの仮想ロボットを体全体で操作するかのように、現実でもある程度自由に動かすことができます。
アニメや映画のアイデアは、既に現実のものになりつつあるのですね。
最近では、そのような遠隔操作の可能性が、ミット打ちの動画を通して明らかにされました。
開発チームのメンバーが構えるミットの位置へ、ナディアが的確にパンチできているのが分かります。
動作は比較的ゆっくりですが、フックやストレートなど、人間と同じような動きができていますね。
オペレーターの動きがそのまま反映されるので、体を揺らしたり、パンチを避けたりすることも可能なようです。
YouTubeのコメント欄には驚きの声が集まっており、ロボット格闘技を題材にした映画『リアル・スティール(2011)』と比較している人もいます。
確かに、スピードが改善されるなら、人間の代わりにロボットで格闘することも可能でしょう。
将来的には、1つのアバターとして等身大の人型ロボットを使用したり、巨大ロボットを直感的に操作したりできるのかもしれません。
ナディアの新しい報告動画は、「遠隔操作のワクワクするような可能性」を示してくれました。
今後の進展にも大きく期待できます。