人気者の夜はなぜ浅い?
子どもにとって良質な睡眠はとても大切なわけですが、今回発表された研究は、10代の子どもたちの友人関係と睡眠との関係を探っています。
研究では、スウェーデンのパブリックスクールに通う1394人がアンケート調査に回答しました。
回答者の年齢の範囲は、14~18歳であったことから、日本で言うと中高生に相当する生徒が対象です。
調査では、まず過去2週間の睡眠時間、不眠傾向(不眠症のリスクを評価するツールである不眠症重症度質問票を利用)、抑うつや不安といったネガティブな感情などについて報告してもらいました。
次に、学校内での友人関係について、最大3人の友達を指名してもらい、指名された友達の数から人気(ポピュラリティ)を評価しました。
すなわち、周りから友達と指名された数が多ければ多いほど、人気者という解釈になります。
分析にあたっては、睡眠に影響を与える可能性のある因子(ネガティブな感情など)の影響を制御した上で、学校での人気度と睡眠状況との関係を調べています。
分析の結果分かったのは、人気のある生徒の睡眠時間が短いということです。
具体的には、皆から友達だと思われている人は、30分近く、睡眠時間が少ないという結果でした。
友達が多い生徒は、友達と過ごす時間や、家でも連絡を取り合う時間が増えるため、結果として睡眠にまわせる時間が減っている可能性があるようです。
また、女子生徒に限ってみると、人気のある子どもは、不眠傾向が強いことも認められました。
この理由について、研究者らは、女子生徒は周りへの思いやりや助け合いの気持ちを持つことが多いために、それらの心配事を就寝時にも持ち込んでしまい、眠りにつきにくくなった可能性があると考察しています。