自分の魅力を伝えるためのコンサート
昨今よく耳にする「推し活」。今や国民の4人に1人が「推し活」をしていると言われているほど、世の中に浸透しています。
「推し」という言葉は、特定のアイドルやアーティストを、人にすすめたいほど気に入っていることを指し、それらをファンとして応援する活動を「推し活」と言います。
「推し」に直接会える場所として一般的なのが、コンサートです。
ファンを集めて自身の楽器の演奏や歌を披露するコンサートは、アーティストが自分の魅力を表現し、ファンへの愛を伝える空間です。
自分の魅力をアピールする手段としてコンサートを開催するのは、ヒトだけではなかったようです。
オーストラリアを主な生息地とするバウアーバードのオスは、繁殖時にメスに自分の魅力をアピールするため、草や小枝などでできた特徴的なバウアー(小屋)を建設することで知られています。
巣作りでアピールすると表現されることもありますが、これは求愛のためだけに建設される展示ホールのような建物です。
オスのバウアーバードは、性成熟するまでの間、オス同士でバウアーを見せ合ったり、仲間同士で物を盗む練習をして、効果的なバウアーを建設する練習をします。
性成熟を迎え、繁殖のタイミングになると、オスはパフォーマンスを行うための自分のバウアーを建設します。
バウアー内の通り道は、石、骨、カタツムリの殻、ガラスや金属などでデコレーションされており、この道の奥で、オスはメスの到着を待ちます。
メスがバウアーの近くに到着すると、オスはショーを始めるために声をあげます。
メスがバウアー内に入ったことをオスが確認すると、オスはバウアーを装飾していた色のついた飾りを拾い上げ、それらを振ったり、投げてバウアーの装飾にぶつけて音を出します。
さらに、歌を歌ってメスにアピールを行い、成功するとカップルが成立します。
パフォーマンスを行い、カップルが成立するまでの間、オスがメスの前に完全に姿を見せることはありません。
つまりバウアーバードのオスは、パフォーマンスを行う会場を自分で建設し、アーティストのコンサートさながらに、歌とダンスを行うことで、メスに自分の魅力をアピールするのです。