バウアーバードのオスは、コンサート会場が立派なほどメスに人気が出る
バウアーバードのオスは、コンサート会場が立派なほどメスに人気が出る / Credit: iStock
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巣作りで求愛する鳥、実は音響効果まで気にしていた

2024.11.09 Saturday

メスへの求愛のために巣を作ってアピールする鳥がいる、という話を聞いたことのある人は多いでしょう。

しかし、ここでアピールしているのは巣の外観だけではなかったようです。

オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)のエンドラー(Endler)氏らの研究チームは、オーストラリアを主な棲息地とするバウアーバードのオスが、求愛に用いる巣は自らの歌声の魅力も増すように音響効果まで考慮して建設していることが判明しました。

この音響効果を含めて上手く建設できるオスほど、メスにモテるのだという。

アイドルやアーティストのコンサートでは、会場の音響についても気にするファンはいますが、歌声の美しい鳥も同様にそこまで気にしていたようです。

研究内容の詳細は2024年9月7日に『Behavior Ecology』にて掲載されました。

Male bowerbirds build acoustics into their love shrines https://www.science.org/content/article/male-bowerbirds-build-acoustics-their-love-shrines
Acoustic effects complement visual displays of Great Bowerbird bowers  https://doi.org/10.1093/beheco/arae070

自分の魅力を伝えるためのコンサート

https://www.istockphoto.com/jp
https://www.istockphoto.com/jp / Credit: iStock

昨今よく耳にする「推し活」。今や国民の4人に1人が「推し活」をしていると言われているほど、世の中に浸透しています。

「推し」という言葉は、特定のアイドルやアーティストを、人にすすめたいほど気に入っていることを指し、それらをファンとして応援する活動を「推し活」と言います。

「推し」に直接会える場所として一般的なのが、コンサートです。

ファンを集めて自身の楽器の演奏や歌を披露するコンサートは、アーティストが自分の魅力を表現し、ファンへの愛を伝える空間です。

自分の魅力をアピールする手段としてコンサートを開催するのは、ヒトだけではなかったようです。

バウアーバードのオスは繁殖のためにコンサート会場を建設する
バウアーバードのオスは繁殖のためにコンサート会場を建設する / Credit: iStock

オーストラリアを主な生息地とするバウアーバードのオスは、繁殖時にメスに自分の魅力をアピールするため、草や小枝などでできた特徴的なバウアー(小屋)を建設することで知られています。

巣作りでアピールすると表現されることもありますが、これは求愛のためだけに建設される展示ホールのような建物です。

オスのバウアーバードは、性成熟するまでの間、オス同士でバウアーを見せ合ったり、仲間同士で物を盗む練習をして、効果的なバウアーを建設する練習をします。

性成熟を迎え、繁殖のタイミングになると、オスはパフォーマンスを行うための自分のバウアーを建設します。

バウアー内の通り道は、石、骨、カタツムリの殻、ガラスや金属などでデコレーションされており、この道の奥で、オスはメスの到着を待ちます。

メスがバウアーの近くに到着すると、オスはショーを始めるために声をあげます。

メスがバウアー内に入ったことをオスが確認すると、オスはバウアーを装飾していた色のついた飾りを拾い上げ、それらを振ったり、投げてバウアーの装飾にぶつけて音を出します。

さらに、歌を歌ってメスにアピールを行い、成功するとカップルが成立します。

パフォーマンスを行い、カップルが成立するまでの間、オスがメスの前に完全に姿を見せることはありません。

つまりバウアーバードのオスは、パフォーマンスを行う会場を自分で建設し、アーティストのコンサートさながらに、歌とダンスを行うことで、メスに自分の魅力をアピールするのです。

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