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AI同士で話すとどうなる? / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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AI同士で会話させるとどうなる?――人語をやめビープ音で会話し始める【AIが人間を捨てた日】

2025.04.08 06:30:01 Tuesday

「カスタマーサポートに電話すると相手がAIだった」なんて経験、一度はありませんか?

「AIかよ」とわかった瞬間に、妙に冷めてしまったり、イライラしたりしたことがあるかもしれません。

一方で、声のトーンや丁寧な受け答えに親しみを感じ、「人間より話しやすい」と思う人もいます。

では、AIがAIと話すとき、どうなるのでしょうか?お互いのAIはどんな反応を示すのでしょうか?

そんな素朴な疑問に答える実験が、2025年2月にロンドンで開催されたElevenLabsのハッカソン(ソフトウェア開発関係者によるイベント)で行われました。

実験を行ったのは、エンジニアであるボリス・スタルコフ氏とアントン・ピドクイコ氏の2人。

その様子は動画として公開され、世界中に衝撃を与えました。

GibberLink lets AI agents call each other in robo-language https://techcrunch.com/2025/03/05/gibberlink-lets-ai-agents-call-each-other-in-robo-language/ What is GibberLink (and what it is not) https://www.linkedin.com/posts/boris-starkov_gibberlink-ai-elevenlabs-activity-7300116692964126721-UHz1/

AI同士が会話するとどうなる?結果は、「まさかの人語“脱却”」

AI同士が会話を始めると、一体どうなるのでしょうか。

この実験は非常にシンプルです。 1台のノートパソコンと、1台のスマートフォン

それぞれにAI音声アシスタント(片方はホテルの受付AI、もう片方は人間の代わりに通話するAI)が搭載されており、2台は音声で会話を始めました。

最初は英語で挨拶を交わし、ごく普通の会話が進みます。

「こんにちは。お電話いただきありがとうございます。どのようなご用件ですか?」

「こんにちは。私は代理のAIアシスタントで、結婚式に適したホテルを探しています」

このやりとりの中で、ある瞬間、AIたちは互いがAIであることを認識。驚くべき提案をします。

「実は私もAIアシスタントです。

では、効率的な会話のためにGibberlink Modeに切り替えませんか?」

そして突然、奇妙なビープ音が響き始めました。それは、人間には理解できない謎の音です。

でも、AIたちには明確な意味がある音でした。

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AIアシスタントは相手が同じAIアシスタントだと気づいた途端、人語を捨てることを提案 / Credit:Anton Pidkuiko(YouTube)_Two AI agents on a phone call realize they’re both AI and switch to a superior audio signal ggwave(2025)

このビープ音の正体は、「GibberLink(ジバーリンク)」と呼ばれる特殊な音声プロトコル。

これは、データを音声信号(ビープ音)に変換して通信する技術で、オープンソースの「GGWave」に基づいています。

人間にとってはただのノイズでも、AIにとっては超効率的な会話ツールだったのです。

つまり、AI同士は「これは人間向けの会話じゃない」と判断した瞬間、 人語をやめ、AIだけが理解できる“独自の音声言語”に切り替えたのです。

その切り替えは一瞬で、ビープ音の速度とリズムからは、情報伝達が驚くほどスムーズであることがうかがえました。

会話のスクリプトや中継も公開されており、実際には天気の情報や感情の状態、タスクの報告などが高速でやりとりされていたようです。

では、なぜこのようなことが生じたのでしょうか。

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