新たに指定された日本の「深海保護区」
海洋環境の悪化が地球規模で深刻化するなか、2010年に愛知県で開催された生物多様性に関する国際会議では、未来に向けた新たな戦略「愛知目標」が採択されました。
この会議では「2050年までに健全な地球を維持し、すべての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される」ことを新たな戦略目標とすることが採択されています。
これ「愛知目標」です。
その一環として、各国は2020年までに海域の10%以上を保護区として保全することが求められました。
日本は当時、海域の保護率が8.3%にとどまっていましたが、2020年12月、新たに「沖合海底自然環境保全地域」を指定することで、保護率を13.3%に引き上げ、目標を達成しています(下図を参照)。

指定された保護区は、伊豆・小笠原海溝、中マリアナ海嶺と西マリアナ海嶺、西七島海嶺、マリアナ海溝北部の4つの海域にまたがります。
これらは水深2000メートルを超える深海底に広がる領域であり、特殊な技術や設備がなければ調査が難しい場所です。
そこでJAMSTECのチームは、さまざまな調査船や無人探査機を使用して、大規模な深海モニタリングを実施。
その結果、深海には驚きの世界が広がっていたのです。