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濡れると透明になるサンカヨウ / Credit:(左)Wikipedia Commons , (右)Wikipedia Commons
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濡れると透明に!?日本のスケルトンフラワー「サンカヨウ」の仕組みとは?

2025.09.05 20:00:22 Friday

日本には、雨の日だけその姿を劇的に変える不思議な花が存在します。

山深い森に咲く「サンカヨウ(山荷葉、学名:Diphylleia grayi )」は、普段は白い花びらが、雨や朝露に濡れることでガラス細工のような透明な花へと変身します。

今回は、そんなサンカヨウの不思議なメカニズムと、現代科学が注目する理由をわかりやすく解説します。

The “Skeleton flower” turns translucent when it comes in contact with water https://www.zmescience.com/science/biology/skeleton-flower-rep/

スケルトンフラワー「サンカヨウ」の透明化の仕組み

サンカヨウ(学名:Diphylleia grayi)は、日本の本州中部以北や北海道、中国ロシア・サハリン島の冷涼な深山の湿地に自生する多年草です。

高さは30〜70cmほど。

5月から7月にかけて、直径2cmほどの白い6弁花を茎先に3〜10個ほど咲かせます。

夏にはコバルトブルーの実もつけます。

最大の特徴は、花びらが濡れると透明になる現象です。

普段は純白の花ですが、雨やたっぷりの露でしっかりと濡れると、まるでガラス細工のように透けて見えるのです。

この現象は「スケルトンフラワー」とも呼ばれ、SNSなどでも話題を集めています。

では、なぜ花びらが濡れると透明になるのでしょうか?

その理由は「素」ではなく、花びらの「構造」にあります。

サンカヨウの花びらには微細な空気の隙間がたくさんあり、乾いているときはこの隙間でがバラバラに乱反射し、白く見えます。

これは雪やすりガラスが白く見えるのと同じ原理です。

一方、雨などで濡れると空気の隙間がで満たされます。

水と花びらの組織は“光の曲がりやすさ(屈折率)”がほぼ同じなので、光が乱反射せず、まっすぐ通り抜けるようになります。

その結果、花びらは透明に見えるようになります。

また、このメカニズムから理解できるとおり、乾けば再び空気の隙間ができ、白い花へと元に戻ります。

すりガラスが濡れると透けるのと同じ現象が、自然の花で何度も繰り返されているというのは、興味深いことです。

ちなみに、サンカヨウの透明な花が見られるのは、花期の終盤やしっかり濡れたタイミングが多いと言われ、まさに“儚い美しさ”を体現しています。

そしてその美しさと不思議なメカニズムは、多くの科学者たちの関心を集めてきました。

次ページ科学者たちは「サンカヨウの秘密」に注目している

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