自然界にはいない?「民家の水槽だけ」で発生するマリモを国内で発見!
自然界にはいない?「民家の水槽だけ」で発生するマリモを国内で発見! / Credit: 国立科学博物館 – ふたたび見つかった民家の水槽だけで発生するモトスマリモ(PDF:2024)
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なぜそこに?国内で2例しか見つかっていないマリモの種を「民家の水槽」で発見!

2024.03.31 Sunday

日本の自然界では見られないマリモが、神奈川県の民家の水槽で発見されました。

これは「モトスマリモ」という種類で、国内では2022年に山梨県にある民家の水槽で初発見されています。

今回はその貴重な2例目の発見となりました。

モトスマリモは世界でもオランダの水族館と中国の河川でしか見つかっていません。

日本のモトスマリモはともに民家の水槽で見つかったことから、本種は人工環境下で発生しやすいマリモと考えられます。

この報告の詳細は科学雑誌『国立科学博物館研究報告B類(植物学)』に掲載される予定です。

ふたたび見つかった民家の水槽だけで発生するモトスマリモ(PDF) https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/1328460.pdf 日本では3種目のマリモ類の発見!モトスマリモと命名(PDF:2022) https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/985331.pdf

日本では「3種類のマリモ」が見つかっている

マリモは淡水性の緑藻の一種です。

一般によく知られているのは丸い球状のマリモですが、生物としてのマリモの一個体は小さな糸状の繊維となります。

これらがたくさん集まって「球状型」のマリモとなったり、他にプカプカと浮かぶ「浮遊型」や湖底にはりつく「着生型」を形成します。

世界のマリモはこの浮遊型と着生型が主流で、球状型はほとんど見られません。

それが見られるのは日本とアイスランドの湖だけといわれています。

A・B:着生型、C:球状型、D:浮遊型
A・B:着生型、C:球状型、D:浮遊型 / Credit: Isamu Wakana)/Hokkaido university – Reproduction key to maintenance of marimo shape(2020)

また、日本ではこれまでに3種類のマリモが見つかっています。

1つ目は「マリモ(学名:Aegagropila linnaei)」で、産地は北海道の阿寒湖や富士五湖、琵琶湖などです。

最大で30センチ幅の球状型を形成し、表面はフェルト状で硬くゴワゴワとしています。

2つ目は「タテヤママリモ(学名:Aegagropilopsis moravica)」で、産地は北海道〜九州の間の約8カ所です。

最大3センチ幅と小さく、見た目は平べったい形をしており、質感はモフモフとした柔らかい手触りとなっています。

そして3つ目が「モトスマリモ(学名:Aegagropilopsis clavuligera)」です。

ただこの種は日本国内の自然な環境では未発見であり、2022年に山梨県甲府にある民家の水槽で初めて確認されました。

最大幅は5センチで、丸くフワフワとした形をしています。

2022年に山梨県の民家の水槽で国内初発見されたモトスマリモ
2022年に山梨県の民家の水槽で国内初発見されたモトスマリモ / Credit: 国立科学博物館 – 日本では3種目のマリモ類の発見!モトスマリモと命名(PDF:2022)

モトスマリモは世界全体で見ても、オランダの熱帯水族館と中国の河川の2件でしか見つかっていない極めて珍しいマリモです。

そして今回報告されたのは、その日本国内で2例目となるモトスマリモの発見であり、やはり民家の水槽で見つかったのです。

次ページ神奈川の民家の水槽で「モトスマリモ」を発見!

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