表面の粒々は種じゃない!イチゴの「種子」と「果実」はどこを指す?
表面の粒々は種じゃない!イチゴの「種子」と「果実」はどこを指す? / Credit: canva
plants

イチゴのツブツブは種じゃないって知ってた?

2022.12.22 12:00:08 Thursday

この時期になるとクリスマスケーキの広告をよく見かけますが、そこに必ず添えられているのが「イチゴ」です。

味も彩りもケーキにはぴったりですが、皆さんはイチゴの種や果実がどこに当たるかご存知でしょうか。

ほとんどの方は「赤い部分が果実で、表面にある粒々が種なんじゃないの?」と答えるかもしれません。

しかし、その解答は植物学的には正しくないのです。

では、本当のイチゴの種と果実はどの部分を指すのでしょう?

その答えを以下で解説していきます。

Are strawberries berries? Uhm, not really. But bananas are berries, and it gets weirder https://www.zmescience.com/other/feature-post/are-strawberries-berries-uhm-not-really-but-bananas-are-berries-and-it-gets-weirder/

イチゴの粒々は種ではなく果実!では赤い部分は?

まずは、一般的な果樹の花のつくりを見ておきましょう。

花には「おしべ」「めしべ」があり、おしべの上部には花粉を生産する「葯(やく)」という器官が、めしべの上部には花粉をくっつける「柱頭(ちゅうとう)」という器官が付いています。

この柱頭に花粉が付着して受精すると、めしべの下部の付け根にある「子房(しぼう)」が発達し、デンプンや糖分がたまって膨らみ始めます。

こうしてできるのが「果実」です。

さらに子房の中には「胚珠(はいしゅ)」があり、これが受精後に成長して「種子」となります。

花の部位の名称
花の部位の名称 / Credit: Floweraura – Parts of Flowers – Flower Anatomy 101

このように、花粉の受精後に子房が発達・成熟し、その中に種子を含む果実を「真果(しんか)」と呼びます。

真果において重要なのは「子房のみ」が成長して果実を形成する点です。

代表的な真果には、ウメやモモ、ブドウ、カキ、ミカンなどが挙げられます。

つまり通常の果物の果実に関しては、子房に注目して見てもらえばいいでしょう。

ところが、イチゴでは成長の仕方がまったく異なります

その理由はイチゴの花を見てみるとわかります。

通常の花ではめしべは1つで、おしべがたくさんありますが、イチゴの花には中心部に100本以上の小さなめしべが密集しており、その周りを少し大きなおしべが囲んでいるのです。

当然、たくさんある個々のめしべの付け根にはいずれ果実に成長する子房があり、子房の中には胚珠が一つずつ入っています。

この無数にあるめしべを支えるため、土台の部分に当たる「花托(かたく)」は普通より大きくなっています。

イチゴの花(中心部のめしべが無数にある)
イチゴの花(中心部のめしべが無数にある) / Credit: canva

通常の植物では、めしべが受粉し、花粉管を下って子房の中で受精に成功すると、子房が膨らみ果実となりますが、イチゴの場合は白い花びらが散って、土台である花托が大きく膨らみ始めます。

そしてこの膨らんだ花托は、無数にあるイチゴの子房とくっつき、私たちがよく知るツブツブの付いたイチゴの形に成長していきます。

花托が大きくなると徐々にイチゴの形になる
花托が大きくなると徐々にイチゴの形になる / Credit: canva

この花托が成熟すると、イチゴの真っ赤で美味しい果肉部分となります。

つまり、この赤い部分の正体は、子房が成長した果実ではなく、大きく膨らんだ花托だったのです。

このように、子房以外の器官(花托)が膨らんで果実のように見えるものを、子房が発達して果実となる「真果」に対して、「偽果(ぎか)」といいます。

偽果には他に、イチジクやリンゴ、ナシが含まれます。

赤い部分は果実でなく、花托が大きくなった「偽果」
赤い部分は果実でなく、花托が大きくなった「偽果」 / Credit: ja.wikipedia

一方で、一つ一つの小さな子房もちゃんと成長して、中にある胚珠も種子となります。

そのため厳密にいうと、イチゴ表面に広がるツブツブの部分こそが、イチゴの本当の果実なのです。

よってイチゴとは「赤く膨らんだ花托の表面にたくさんの果実がくっついている状態」と考えるのが正しいのです。

このようなイチゴの果実は厚い果肉がなく、薄い皮の中に種子が包まれているだけなので、植物学的には「痩果(そうか)」と呼ばれます。

痩果とは「果肉がなく、1個の種を持つ果実」を意味します。

実はこの粒々こそがイチゴの果実
実はこの粒々こそがイチゴの果実 / Credit: ja.wikipedia

赤く膨らんだ花托は、ツブツブの痩果を保護するクッションの役割があり、痩果がたくさんある植物ほど花托が大きく成長することが分かっています。

研究者によれば、痩果の中の種子が「オーキシン」という化学物質を放出しており、これが花托を肥大させる作用を持つという。

果実はそもそも、動物たちにそれを食べてもらって、その中の種子を遠くに散布してもらうことを目的としています。

そこで植物たちは、自分たちの果肉を食べてもらうために、色や味、匂い、大きさなどを様々に工夫しなければなりません。

イチゴも小さくて見えない種子を食べてもらうために、赤く大きな花托をつけるのでこれを果実と私達が認識することが間違いとはいえないでしょう。

イチゴが愛らしく美味しい植物であることに変わりありませんが、こんなこと初めて知ったという人は、今年のクリスマスケーキに乗せられたイチゴを見るとき、ちょっと気分が変わるかもしれません。

イチゴのツブツブは種じゃないって知ってた?のコメント

Gift Baskets Spain

Gift Baskets Spain is a premier online gift delivery service specializing in exquisite gift baskets for all occasions. With a wide selection of high-quality products and reliable delivery services, Gift Baskets Spain aims to make gift-giving easy and convenient for customers looking to send gifts to loved ones in Spain.
Website: https://www.giftbasketsspain.es/

Italy flowers

Welcome to Flower Studio, your premier destination for beautiful and vibrant flowers in Italy. Italy, known for its rich cultural heritage and stunning landscapes, is also home to a diverse array of flowers that captivate the senses and evoke a sense of beauty and romance. Whether you are looking to send flowers to a loved one in Italy or simply want to indulge in the beauty of Italian blooms, Flower Studio is here to make your floral dreams come true.

Flowers to Japan

At The Japan Florist, we deliver emotions through the timeless beauty of flowers. With expert care and quality blooms, each bouquet is handcrafted for meaning. From joyful celebrations to quiet sympathies, we’re here for every occasion. Connecting hearts across Japan—no matter the distance.
Website: https://www.thejapanflorist.com/

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

植物のニュースplants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!