サンタ役の成功は「外見より気合」とする研究結果が発表
サンタ役の成功は「外見より気合」とする研究結果が発表 / Credit:Canva
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サンタ役の成功は「外見より気合」とする研究結果が発表 (2/2)

2025.12.05 18:30:17 Friday

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849人のプロサンタを分解して見えてきた3つの物語

849人のプロサンタを分解して見えてきた3つの物語
849人のプロサンタを分解して見えてきた3つの物語 / Credit:Canva

まず研究チームは、849人分のプロサンタたちの意見や身体情報を集めました。

ここで言うプロサンタとは、サンタ学校やサンタ団体など「サンタ業界」を通じて仕事を得ている人々で、サンタ業を有償・無償にかかわらず少なくとも1シーズン以上行ってきた人々を指します。

つまり「自称サンタ」や「今日アルバイトでたまたまサンタになった」というものではなく、複数年(人によっては何十年も)本気でサンタ業を続けている方々と言えます。

さらに、そのうち53人にオンラインなどでインタビューを行い、「どうしてサンタになったのか」「サンタとしてどう生きているのか」を、一人あたり1時間前後かけて丁寧に聞き取りました。

すると研究チームはプロサンタたちの物語が3つのパターンに分かれていることに気づきました。

1つ目は「プロトタイプ・サンタ」です。

白人男性で年配、ぽっちゃり体型に本物の白ヒゲという、絵に描いたようなサンタたちです。

彼らは「昔から白ヒゲの優しいおじいさんと言われていた」「近所の人に『あなたは絶対サンタをやるべきだ』と言われて自然と始めた」と語り、自分の外見と性格がそのままサンタに“シンクロ”している感覚を持っています。

このタイプのサンタは、シーズン以外でもクリスマスにちなんだ服や小物を身につけ、普段の生活でも「サンタらしさ」を保とうとします。

子どもに突然声をかけられても困らないように、いつでも優しく振る舞うよう心がけている人も少なくありません。

研究チームは、こうしたスタイルを「年中サンタとして生きる連続的なコーリング(天職感)の実践」と位置づけています。

2つ目は「セミ・プロトタイプ・サンタ」です。

年齢や雰囲気はサンタらしいけれど、本物の白ヒゲがない、あるいは健康のために体重を増やせない、といった人たちです。

彼らはしばしば、「自分は本物のサンタなのか?」という“ニセモノ感”や、英語で言うimpostor感(自分は偽物だと感じる心)に悩みます。

そこで彼らが編み出したのが、「物語でズレを埋める」工夫です。

たとえば、痩せているサンタは「健康サンタ」という設定を作り、「今年はダイエットを頑張ったからスリムなんだよ」と子どもに話します。

研究チームはこれを「エピソード型のコーリングの実践」と呼んでいます。

3つ目は「非プロトタイプ・サンタ」です。

これは女性サンタ、車いすのサンタ、黒人サンタなど「サンタ像から大きく外れている人たち」です。

彼らの多くは露骨な拒絶を経験してきました。

それでも彼らはサンタをやめませんでした。

自分はこの仕事に呼ばれているという天職だという感覚――コーリングを感じていたからです。

興味深いことに研究では、非プロトタイプ・サンタ」は外見的にマッチしている「プロトタイプ・サンタ」と同様に、クリスマス以外の時も「サンタらしさ」を保とうとしていることが判明しました。

研究者たちは、これをサンタが天職であるという思いに支えられていると述べています。

そして結果的に彼らは外見の振りを気合で補い、今もプロサンタの位置に留まっています。

サンタ業界は厳しい世界です。

ショッピングモールや病院・施設などからの依頼なしに、サンタの服を着て道でパフォーマンスをすることは誰でもできます。

しかし今回の研究で扱われたのは、そうした自己流のサンタではなく、依頼を受けて仕事としてサンタをしている「プロサンタ」だけです。

非プロトタイプ・サンタと言われる人々は、そんな厳しいサンタ業界を今も熱意と情熱で生き抜いていたのです。

もちろん「外見的にみるからにサンタ」という感じの人が有利なのは間違いないでしょう。

しかし外見が合わなくても、サンタ業界で成功しているプロサンタたちがいるのは事実です。

研究者たちも「情熱を注げる仕事なら臆せず飛び込んでみるべきだ」とコメントしています。

もちろん、この研究の対象はアメリカで実際にプロサンタとして活動している人たちのみです。

サンタに向いていないと言われて諦めてしまった人や、サンタ業に興味を失って別の道に進んだ人たちの声は集計されていません。

それでも、この研究は天職の本質について重要な示唆を与えてくれます。

人々が自分の仕事に見出す意味は、外見的な条件よりも内面的な物語によって支えられている可能性が高いのです。

研究者たちは今後、こうした「役割への没入」が他の職業や社会環境でどのように起こるのかも調べる余地があると述べています。

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