プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」が聞き手の記憶力を高める
プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」が聞き手の記憶力を高める / Credit: Unsplash
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プレゼンの時に出がちな「えーっと」や「あのー」は聞き手の記憶力を高める (2/2)

2026.01.18 21:00:32 Sunday

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効果は短く、タイミングが重要

なぜ言い淀みの直後の単語は聞き手の記憶に良く残るのでしょうか。

研究チームは、言い淀みが「注意を向けるべき合図」として機能していると考えています。

これを確かめるため、実験3と4では、言い淀みを入れる位置(文頭、中間、文末)を変えて実験を行いました。

もし言い淀みが「この話は重要だ」という全体的な印象を与えるなら、どこに入れても記憶は良くなるはずです。

しかし結果は、言い淀みの「直後」にある単語だけが記憶に残りやすく、文の序盤や中盤で言い淀んでも、その後の単語の記憶は向上しませんでした。

実験4の結果の図を改変。言い淀みの「直後」にある、文末の単語だけが記憶に残りやすい
実験4の結果の図を改変。言い淀みの「直後」にある、文末の単語だけが記憶に残りやすい / Credit: Diachek, & Brown-Schmidt. (2023)

例を出して説明すると、「えーっと、彼がテーブルに置いたのは、とても美味しいパンでした」のように文頭に言い淀みがあった場合、それ以降の単語(テーブルやパン)の記憶は向上しないのです。

つまり、言い淀みによって引き出される注意力は極めて短命で、わずか0.1〜0.3秒ほどしか持続しません。

このため、文頭や文中で言い淀んでも、肝心なキーワードが出てくる頃にはその効果が切れてしまいます。

言い淀みが文末の「重要な単語」のすぐ手前に置かれたときにのみ、その直後の情報に対してピンポイントで記憶を強化するスイッチとして機能するのです。

このことは、私たちが無意識に相手の言葉の詰まりを「次に何が来るか」を集中して聞くためのトリガーとして利用している可能性を示しています。

私たちは日常会話の中で、100語あたり4回から10回ほどの頻度で無意識に言い淀みを発しています。

こうした言い淀みは、一般的に「自信がない」「不慣れ」といったネガティブな印象を与えがちですが、研究が示す通りデメリットだけではありません。

話し手が言葉に詰まるその瞬間、聞き手の脳は無意識に「重要なメッセージが来る」と身構え、情報の処理と記憶の定着を強化しているのです。

もちろん、言い淀みがあまりに多すぎれば信頼を損なう恐れはあります。

しかし、「本当に伝えたいキーワード」をあえて文末に配置し、その直前にわずかな「間」や「言い淀み」を挟むことで、相手の記憶に深く情報を焼き付けることができるのかもしれません。

流暢で完璧な話し方だけが、最良の伝達手段とは限らないのです。

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