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狂犬病キツネの異常行動を、肉眼より9〜16日前に「機械の目」が見抜いた (2/3)

2026.01.21 20:30:09 Wednesday

前ページ見た目はまだ元気な「感染者」を見分けたい理由

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人間が気付くよりも9~16日前から異常行動が起きていた

人間が気付くよりも9~16日前から異常行動が起きていた
人間が気付くよりも9~16日前から異常行動が起きていた / Credit:Canva

体温や行動パターンを調べるだけで、狂犬病の進行を知ることができるのか?

答えを得るために、フランスの研究チームはまず、赤ギツネ4匹に親指ほどのインプラントを埋め込みました。

この装置は体温と体の揺れを10秒ごとに記録し、ケージの外に置いた受信機へ無線で送り続けます。

その4日後、今度は狂犬病ウイルスをこめかみ付近の筋肉に注射し、翌日から10日間を「元気なときの基準期間」、それ以降を「監視期間」として、データの揺れ方を比べるようにしました。

また肝心の行動データは、工場の品質管理で使われる「統計的プロセス管理」という考え方を持ち込みました。

基準期間の平均とばらつきをもとに、「ここまではふつうの揺れ」「ここから外れたら異常」という上限と下限の線を引くことで、狂犬病の進行などに伴って行動に異常が現れるタイミングを察知可能になります。

結果、3匹のキツネで、臨床症状が出る9〜16日前から連続した異常値が出続けていたことがわかりました。

人間の目で症状を見つけるより遥か前から「何かおかしい」と行動データが叫んでいたのです。

一方で、体温については驚くべきことに、感染して症状が出た3匹のキツネでは、どのキツネもだいたい36.9〜38.7度のあいだを行き来しており、「基準期間」と「監視期間」のあいだで統計的な差はほとんど見つかりませんでした。

この結果から見えてくるのは、「体温は意外とあてにならないが、動き方はかなり正直だ」という傾向が示されたことです。

もし体温計と人の目だけに頼っていたら、3匹のキツネは、死の1〜3日前まで「なんとなく元気そう」に見えていたかもしれません。

しかし、インプラントと統計モデルは、そのさらに1〜2週間も前から「普段のリズムが崩れ始めている」と教えてくれていました。

再びゾンビ映画にたとえるなら、見た目はまだ普通に歩いているのに、足音のリズムだけがじわじわ変わっている感染者を、マイクとパソコンが先に聞き分けていた、というイメージに近いでしょう。

次ページ動物福祉のため「もの言わぬ動物の苦しみ」を可視化する

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