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将来「損する」という感覚は同等の「得する」感覚の6倍強いと判明 (2/2)

2026.01.31 17:00:07 Saturday

前ページ心を揺さぶる「待ち時間」

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「不安」が強い人ほど、せっかちになる

この研究の最も興味深いポイントは、不安の強さが「リスクの避け方」だけでなく、「時間の捉え方」までも変えてしまうことを示した点にあります。

将来の損失を想像して苦痛を感じる度合いが、実際に損失を経験したときの痛み(損失回避)以上に大きい状態を、研究者は「不安回避(Dread Aversion)」と呼んでいます。

この不安回避が強い人ほど、二つの特徴的な行動をとる傾向があることが分かりました。

一つ目は、当然ながら「リスクを極端に避ける(Risk-avoidant)」ことです。

悪い結果が起こる可能性を想像するだけで大きな心のダメージを受けるため、その想像の種となるような不確実な選択肢を、無意識のうちに排除しようとするのです。

これは既存の研究でも、不安を感じやすい人においてよく指摘されていた影響です。

二つ目は、意外なことに「せっかちになる(Impatient)」ことでした。

通常、慎重な人ほど時間をかけて物事を決めたり、優柔不断になるイメージがありますが、予期的な不安が強い人の場合は逆の結果になりました。

不確実な状態が続けば続くほど、「いつか悪いことが起きるかもしれない」という不安による心のダメージが蓄積され続けます。

そのため、たとえ少し損をしたとしても、一刻も早く結果を確定させてその苦痛から逃れたいという心理が働き、損得に関わらず決着を急いでしまう傾向が見られたのです。

つまり、投資や人生の大きな決断で「せっかち」になってしまうのは、意志の弱さのせいではなく、その人の脳が持つ「将来への敏感さ」が原因である可能性が示されたのです。

これは将来的に得できるかもという感覚より、同程度の損をするかもという感覚の方が非常に強力であることを示しています。

例えば、「今契約してくれれば2割引きしますよ」という勧誘よりも、「今契約しないと他の人に取られちゃいますよ」という勧誘の方が強力な理由を説明しています。

後者は迷っている時間すべてが不安と戦う苦痛の時間になるため、早く決めて楽になりたいという気持ちが損得の感情を上回りやすいのです。

ただし、この研究はあくまで統計的な「傾向」を明らかにしたものであり、すべての人に当てはまる絶対的な法則について語っているわけではありません。

また、データの性質上、感情が先か行動が先かという完全な因果関係までは断定できないという点には注意が必要です。

とはいえ、損するか得するかという勘定以上に「待つことの苦痛」が私たちの経済的な選択を歪めているという視点は、非常に興味深いものです。

もしあなたが今、重要な決断を前にして「早く終わらせたい」と焦っているなら、それは心が将来の不安を先取りしすぎて、オーバーヒートしているサインかもしれません。

私たちがより良い選択をするためには、まずは自分の中にある「想像の力」の大きさを正しく理解することが、最初の一歩になるでしょう。

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