対等な関係では「交代」、上下差のある関係では「継続」が期待される
研究チームはまず、2人の関係が「対等な関係」か、「力・地位・影響力に差がある関係」かを示すだけで、参加者の予測が変わるかを調べました。
すると、対等な関係では、参加者は親切を受けた側が次にお返しすると予測しました。
一方、力・地位・影響力に差がある関係では、前回親切にした同じ人物が、次も同じように親切にすると予測しました。
つまり、親切な行為そのものは同じでも、その2人の関係性によって、「次に自然に起きること」の予測が変わったのです。
さらに研究チームは、上下差のある関係で、親切をした人が上位者なのか下位者なのかにも注目しました。
その結果、上司が部下に親切をするような場合でも、部下が上司に親切をするような場合でも、参加者は「前回親切にした人が次も親切にする」と予測しました。
つまり、「地位の高い人が与え続ける」という単純な話ではありません。
一度できた親切の流れそのものが、その関係の中の役割として認識されていたのです。
また、「同僚」「友人」「いとこ」のような対等な関係や、「助言者と助言を受ける人」「叔父と甥」のような具体的な関係名を使った実験でも、結果のパターンは変わりませんでした。
さらに、参加者自身が報酬つきゲームに参加し、「親切にする側」と「親切を受けた側」のどちらの役割を選ぶかを決める実験でも、この傾向は再現されました。
対等な相手とのやり取りでは、参加者は次に役割を交代しようとしました。
一方、相手との関係に上下差があると説明された場合には、前回と同じ役割が続くと見なし、それに合わせる選択が増えました。
参加者の判断は損得だけでは説明しにくく、相手との関係性も行動選択に影響していたことがうかがえます。
もちろん、この研究は米国成人を対象としたオンライン実験であり、実際の長期的な人間関係を直接観察したものではありません。
それでも、「親切にされたら返す」という一見当たり前のルールが、特に対等な関係で働きやすい可能性を示した点は興味深いでしょう。
「お返し」は、親切そのものから自動的に生まれるのではなく、相手との関係がどれだけ対等に見えているかによって変わるのかもしれません。



























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