psychology

頼まれるまで同僚に手を貸すべきではない理由

2018.10.25 Thursday

Point
・「協力」は相手のヘルプの訴えの有無によって「自発的な協力」と「受け身の協力」の2つに分類される
・望ましいのは相手に頼まれてから初めて行動する「受け身の協力」である
・「自発的な協力」は問題点がハッキリしておらず、さらに相手の自尊心を傷つけることもあり、感謝を受けることが少ない

自分の仕事に余裕があるとき、周りを見渡して誰かの「お手伝い」をしてあげたい気分になるかもしれません。しかし、アメリカのミシガン州立大学などによる最新の研究によると、「助ける」行動が必ずしもポジティブな結果を生まないことを明らかにしました。研究結果はJournal of Applied Psychologyに掲載されました。

The benefits of receiving gratitude for helpers: A daily investigation of proactive and reactive helping at work.

http://psycnet.apa.org/record/2018-43398-001?doi=1

同僚に手を貸す行動は、大きく2つに分けられます。それは「自発的な協力」と「受け身の協力」です。両者の区別は、「相手からのヘルプの訴え」があるかどうかで分けられます。

受け手からすれば非常に喜ばしいことのように感じる「自発的な協力」ですが、そこにはいくつかの問題があります。あなたが「自発的な協力」をしたとしても、受け手側の問題がハッキリしていないため、受け手から感謝されることが少ないというのです。さらに、相手からのヘルプの申し出は受け手の「自尊心」を傷つけ、フラストレーションを溜める結果にもなりかねません。

研究では、製造、ヘルスケア、教育、政府機関など様々な業界で働く21~60歳のフルタイム・ワーカー54人について調査を実施。10日間観察を続け、彼らの同僚に向けた「手伝い」と、それに伴う「感謝」などのポジティブな影響について評価しました。

その結果、前述した「自発的な協力」によるネガティブな側面が浮き彫りになったとのこと。すなわち自発的な協力は、協力を申し出た側はあまり感謝を受け取ることがなく、協力された側は自尊心が傷つけられていたのです。そして、特にダメージを受けたのは「協力を申し出た側」の人間でした。手伝ってもらった人がすぐに感謝を示すことは少なく、虚しさを感じて仕事のモチベーションを低下させていたのです。

この研究が示唆するのは、人々にとって重要なのは「自分の仕事に集中すること」であり、困っている人を探すことではないといったこと。もちろん、手伝いや人助けはとても善い行いです。しかし、その善意を行動に移すのはヘルプを頼まれた後でも遅くはないのです。そして、もしあなたが誰かから助けてもらったときは、できるだけ早く感謝の意を伝えましょう。お礼を言うまでに時間がかかってしまえば、助けてくれた人へのポジティブな影響は薄れていってしまいます。

やるべきことはとてもシンプル。忖度するのではなく、「頼まれるまで手伝わず、手助けに対しては即感謝する」といったスタンスを多くの人が持つことができれば、会社内の人間関係は改善され、生産性の向上につながるかもしれません。

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via: futurity / translated & text by なかしー

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