「身体サイズ」と「視覚反応の速さ」に顕著な相関
ヒトでも、時間の感じ方には個人差があります。
スポーツ選手は、一般人よりも視覚情報を速く処理できる傾向が強く、たとえば、熟練のゴールキーパーがボールの向かって来る方向を瞬時に察知できるのはこのためです。
また、ヒトの視覚情報の処理速度は、加齢にも関係しています。
若い時はすばやく反応できても、歳をとると反応が鈍くなりますよね。
研究チームは、さまざまな生物の時間知覚の違いを調べるため、「臨界フリッカー融合頻度」と呼ばれる尺度を用いて計測したデータセットを収集しました。
この尺度は、動いている物を認識する能力を客観的に比較するものの1つ。
点滅する光を見る時、点滅速度が速くなるほど光が繋がって点灯状態のように見えますが、どの点滅速度まで「点滅」として捉えることができるかを測ります。
分析の結果、生物の身体のサイズと、視覚情報に対する反応の速さに、強い相関があることが分かりました。
つまり、身体の小さな生物ほど視覚反応が速く、身体の大きな生物ほどその反応が鈍くなっていたのです。
私たちヒトは、自動車や航空機の改良を重ねることで「もっと速く移動したい」という願望を叶えるための努力に余念がありません。
ですが、そこには常に人間の視覚情報処理の限界が存在しています。
研究員のアンドリュー・ジャクソン氏は「より速い移動を求めるならば、コンピュータアシストの力を借りるか、または薬剤を使ったり、最終的には移植を行うことによって、ヒトの視覚システムの強化を測る必要があるでしょう」と話しています。
では、視覚の処理スピードが最も速い生き物は何なのでしょうか?