古代ウイルスの指紋からわかること
現在のコロナウイルス流行の初期段階において、東アジアの一部の集団では、感染数の増加が緩やかだったことが謎とされています。
しかし、ひょっとするとその原因は、この祖先から受け継いだ古代コロナウイルス流行による変異の影響かもしれない、と研究チームは示唆しています。
ただ、これは予想であって事実であるかは定かではありません。
今回の研究には関わっていない、カリフォルニア大学医学部の准教授ジョエル・ヴェルトハイム氏は「この進化を引き起こしたウイルスが、コロナウイルスであったかどうか判断することは非常に難しい問題です」と語っています。
ただ、「もっともらしい実用的な理論のようだ」と彼は研究を評価しています。
実際研究チームのエナード氏も、東アジアの祖先を悩ませた古代の病原菌がコロナウイルスではない可能性があることは認めています。
今回の発見が、コロナウイルスと似たような相互作用を細胞と起こす、別種のウイルスであった可能性は否定できません。
しかし、2月9日に同じくプレプリントサーバー『bioRxiv』に投稿された別の研究は、SARS-CoV-2を含むコロナウイルスのファミリーであるサルベコウイルスが、2万3500年前に最初の進化をしたという報告を行っています。
こちらの研究もまだ科学雑誌への掲載はされていませんが、今回の研究と時期が一致していて、関連している可能性があります。