パンデミックのウイルスは「特別な進化」をしていなかった?
これまでの一般的な考え方では、動物に感染しているウイルスが人間に広がるには、あらかじめ特別な変異を獲得する必要があるとされてきました。
例えば、人の細胞に入りやすくなる変化や、人から人へ感染しやすくなる性質です。
いわば「人間向け」に変わって初めて、大きな流行が起きると考えられてきたのです。
しかし今回の研究では、この前提が大きく揺らぎました。
研究チームは、インフルエンザAウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、エムポックス(サル痘)ウイルス、SARS-CoV、そして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)といった複数の病原体について、遺伝子レベルで進化の様子を詳しく分析しました。
特に注目したのは、「ヒトに感染する直前」の段階です。
もしウイルスが事前にヒトへ適応していたなら、その痕跡が遺伝子に残っているはずだからです。
ところが結果は予想外でした。
どのウイルスも、ヒトに感染する前には特別な進化の兆候が見られませんでした。
進化の強さは、動物の中で普通に循環しているときとほぼ同じだったのです。
はっきりした変化が見えたのは、ヒトの間で広がり始めてからでした。
これはつまり、今回調べられた多くのウイルスが、ヒトに感染し、ある程度はヒトの間で広がるための基本的な能力を、すでに持っていた可能性を示しています。
研究者たちは、パンデミックを起こすウイルスを「事前に特別な進化を遂げた例外的存在」とみなすよりも、動物界にすでに存在していたウイルスが、人間との接触機会を得た結果として出現した可能性に注目しています。





















































