「音」も「視界」も遮断する発明品「アイソレーター」
ガーンズバック氏がアイソレーターを紹介したのは、1925年7月発行の『Science and Invention』でした。
彼は記事の冒頭で、人間にとって特に難しいことの一つが、長時間集中して考え続けることだと述べています。
弁護士が複雑な主張を組み立てたり、発明家が難しい問題を考えたりするときには、思考を途切れさせずに集中する必要があります。
ところが窓を閉めても街の騒音は入ってきますし、誰かがドアを閉めたり、電話や呼び鈴が鳴ったりするだけでも、思考の流れは簡単に乱されます。
しかも彼が問題視したのは、外から聞こえる音だけではありませんでした。
たとえ部屋が静かでも、人は壁紙の模様を眺めたり、壁を這うハエを目で追ったり、揺れるカーテンに気を取られたりします。
つまりガーンズバック氏は、人間の目が勝手に周囲へ向いてしまうことも集中を妨げると考えたのです。
編集者として日々集中を要する仕事をしていた彼自身も、「5分間さえ邪魔されずに一つのことを考え続けるのは難しい」と書いています。
そこで作ったのが、頭全体をすっぽり覆うアイソレーター(※画像はこちら)でした。
最初の装置は木製で、内側と外側にコルクを張り、さらにフェルトで覆って音を弱める構造になっていました。
口元には呼吸を可能にしながら音の侵入を抑える仕組みもあり、ガーンズバック氏は初期型について約75%の効率に達したと自己評価しています。
さらに彼は、木材を使わず内部に空気の層を設けた改良型を製作し、90~95%程度の効率で、ほとんどの音を排除できるだろうと予想しました。
(ただし、これら主張された数値が、実際にどれほど正確だったかは不明です)
そして音を抑えるだけでは目が周囲を見てしまうとして、正面のガラスを黒く塗り、細い横長の視界だけを残しました。
その結果、装着者にはほぼ机の上の紙しか見えない状態になります。
つまりアイソレーターは、耳と目の両方から入る刺激を減らし、注意がそれるきっかけを物理的に減らそうとした装置だったのです。
そして、この奇妙な装置には、さらなる改良が施されます。


































