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3倍走る強化マウスはデメリットなし!? / Credit:Canva
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3倍走る「強化マウス」が誕生、97世代目でも「代償」が見つからない

2026.08.28 17:00:20 Friday

もし「走ること」に極端に適応した動物を作り続けたら、何が起きるでしょうか?

よりたくさん走るようになった代わりに、子どもを残しにくくなったり、寿命が縮んだりしても不思議ではありません。

ところが米国カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)の研究チームが、30年以上続く「よく走るマウス」の選択交配実験を調べたところ、研究者が予想していた繁殖や寿命への「代償」は明確には見つかりませんでした。

研究成果は2026年8月12日付で学術誌『Behavior Genetics』に掲載されています。

Researchers Bred ‘Supermice’ for Extreme Running. They Expected a Downside, But There Wasn’t Any https://www.zmescience.com/science/biology/researchers-bred-supermice-for-extreme-running-they-expected-a-downside-but-there-wasnt-any/
Selective Breeding for Voluntary Wheel-Running Behavior in Mice is not Associated with Reduced Lifetime Reproductive Success or Lifespan Under Long-Term Paired Breeding Conditions https://doi.org/10.1007/s10519-026-10277-x

「よく走るマウス」を100世代近く交配すると何が起きる?

生物には使えるエネルギーに限りがあるため、ある能力に多くのエネルギーを使えば、別の能力にしわ寄せが生じることがあります。

たとえば活発に動くために大量のエネルギーを使えば、そのぶん繁殖や体の維持に使えるエネルギーが減るかもしれません。

こうした関係は「トレードオフ」と呼ばれます。

今回、研究チームが注目したのが「High Runner(HR)マウス」でした。

このマウスは遺伝子編集で作られたものではありません。

1993年に始まった選択交配実験では、若いマウスに回し車を与え、特によく走った個体を次世代の親として選び続けました。

一方、対照となる系統では走行量に関係なく親を選び、同じように世代を重ねていきました。

その結果、HRマウスは回し車を与えられると、対照マウスのおよそ3倍もの距離を自発的に走るようになりました。

さらにこれまでの研究では、HRマウスは体が小さく体脂肪が少ない傾向があり、持久力や最大酸素摂取量が高いほか、心臓筋肉、ホルモンなどにも違いが確認されています。

つまり「よく走る」という特徴を選び続けたことで、それに伴って体のさまざまな特徴にも変化が現れてきたのです。

そこで研究チームは、こうした変化のどこかに「代償」が生じているのではないかと考えました。

特に予想されたのが、生涯に残せる子どもの数が減ったり、寿命が短くなったりする可能性です。

今回研究者たちは第97世代のマウスから100組の雌雄ペアを作り、性成熟する7週齢から生涯にわたって一緒に飼育しました。

そして出産回数や、離乳まで育った子の数、最初と最後の出産時期、さらに両親の寿命まで記録しました。

重要なのは、今回の生涯追跡では子マウスの安全などを考慮して回し車を置かなかったことです。

そのため調べたのは「毎日3倍走らせたらどうなるか」ではなく、「3倍走る性質を何世代も選択してきたマウスに、繁殖や寿命の代償が現れているか」でした。

ところが比較した結果、HRマウスでは生涯に残せる子どもの数にも平均寿命にも、統計的に明確な低下が確認されなかったのです。

より詳細な結果を次項で見ていきましょう。

次ページ「たくさん走る性質」を得ても、繁殖と寿命は犠牲にならなかった

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